大腿骨頸部骨折の分類

投稿者: | 2018年7月6日

 看護・リハビリに生かす大腿骨頸部骨折の分類(種類) 

大腿骨近位部骨折は大腿骨頸部骨折と大腿骨転子部骨折に分類できます.

看護を行ううえでも,リハビリを行ううえでも,まずは大腿骨頸部骨折の分類についておさえておく必要があります.

大腿骨頸部骨折の分類としてはGarden分類が有名です.

 

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 頸部骨折の分類(Garden分類)で手術が決まる 

Garden分類についてはいろいろなサイトで紹介されておりますが,大腿骨頚部骨折を転位の程度によりstage I~IVの4段階に分類します.

stage I

不完全骨折で骨頭は外反位をとり骨折線の上部では陥入し内側頚部骨皮質に骨折線はみられず若木骨折型を呈します(X線では骨折がはっきりしないことも多く診断にCTやMRIが用いられることもあります).

stage II

完全骨折ですが転位がなく遠位骨片と近位骨片の主圧縮骨梁の方向性に乱れがありません.

stage III

転位のある完全骨折でX線単純写真正面像では近位骨片は内反して主圧縮骨梁は水平化し,臼蓋,骨頭,および遠位骨片内側の主圧縮骨梁の方向が一致してしてません.

stage IV

転位が高度の完全骨折でX線単純写真正面像でのstage IIIとの違いは臼蓋,骨頭,遠位骨片内側の主圧縮骨梁の方向が一致して,正常の方向を向いている点です.これはWeitbrecht支帯が損傷されることで,骨頭が後方への回旋転位を示さないためとされております.

ちなみにこのGarden stageですが私はテキトーにしか記憶しておりません.

というのもそもそもこのGarden分類は検者間一致率が低いことが知られております.

検者間一致率というのは何かというと,複数名の整形外科医師が同一の骨折写真を診て,Garden分類で大腿骨頸部骨折を分類したとして,ある程度一致するかどうかといったものです.

これは級内相関係数という指標やκ係数といった指標を用いて検討がなされますが,あまり一致しないということは正確に覚えていても…というわけで覚えていなくてもその度に確認すればいいような分類だと考えております.

検者間一致率が低いのでガイドライン上も非転位型(Ⅰ・Ⅱ)と転位型(Ⅲ・Ⅳ)に分類するといった方法が推奨されております.

手術方法についても非転位型には骨接合術(Cannulated Cancellous ScrewやHanson-pinが多いです)が,転位型には人工骨頭置換術が施行されることが多いので,とりあえずは非転位型か転位型かが判断できればリハビリ(理学療法)を行う上では大きな問題は無いと思います.

 

 非転位型骨折に人工骨頭置換術? 

ちなみに本邦では非転位型にも人工骨頭置換術が施行されることが多い傾向にあります.

なぜかと考えてみますと,やはり合併症による再入院や入院期間の長期化を避けるためというのが一つの理由だと思います.

骨接合術を施行した時の大きな問題は将来的に大腿骨頭壊死といった合併症が起こる可能性があるといった点です.

ですので非転位型か転位型かの判断が微妙な時にはまず人工骨頭置換術が検討されることが多いと思います.

 

しかしながら人工骨頭置換術の場合は,脱臼といった合併症や生活が制限される恐れがありますので,安易に人工骨頭置換術が選択されるのはどうなのだろうかと考えられる方もおられると思います.

もちろんGarden stageⅢの転位型骨折例であっても比較的若い方で仕事上で動作制限が起こることを避けるために,大腿骨頭壊死の可能性を十分に説明し理解していただいた上で骨接合術が施行されることもあります.

 

 頸部骨折に人工股関節全置換術(THA)? 

 

もう一つ最近のトピックスになっているのが転位型骨折に対して人工骨頭置換術を施行するか,人工股関節全置換術を施行するかといった問題です.

教科書的には大腿骨頸部骨折は大腿骨頸部のみに問題があり,寛骨臼蓋側には問題がないわけですので,人工骨頭置換術を施行するというのが通常だと思います.

ですので関節リウマチや変形性股関節症を合併されている方が大腿骨頸部骨折を受傷された場合に,臼蓋側も同時に置換しましょうというのが,これまでの本法における手術適応の考え方であったと思います.

 

 

 

 

 

 

 

 

しかしながらここ数年一部の医療機関で大腿骨頸部骨折例に対しても人工股関節全置換術を施行する病院が増えてきました.

日本股関節学会で大腿骨頸部骨折に対する手術療法として人工骨頭置換術・人工股関節全置換術のどちらを施行すべきかといったシンポジウムが組まれるくらいです.

実は米国では既に大腿骨頸部骨折に対しては人工股関節全置換術が施行される,つまり臼蓋側も置換が行われることが一般的になってきています.

これは将来的なアウターヘッドのmigrationの可能性を考慮しての対策のようですが,すでに人工骨頭置換術後にmigrationが起こり訴訟になっているケースが米国では生じているようで,そのため人工股関節全置換術が施行されることが多くなっているようです.

当然,メリットばかりではありません.人工股関節全置換術が施行されれば関節包の展開は大きくなりますので脱臼の危険性はより高くなりますし,医療費という面で考えた場合にも社会保障費を増加させてしまうといったことも考えられます.

現時点では大腿骨頸部骨折に対する人工股関節全置換術はまだ一般的ではありませんが,今後主流になってくるかもしれませんね.

 

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 おわりに 

人工骨頭置換術と骨接合術では侵襲筋が異なりますので,術後の理学療法も大きく異なるものとなります.このあたりは大腿骨頸部骨折の運動機能について術式別に考えた記事を書いておりますので,そちらもご覧ください.

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