第9回日本運動器理学療法士学会開催前にチェックしておきたい演題紹介③

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第9回日本運動器理学療法士学会開催前にチェックしておきたい演題紹介③

第8回日本運動器理学療法学会は残念ながら中止となってしまいましたので,2年ぶりの学会開催となります.

第9回日本運動器理学療法学会はオンラインでの開催となります.

今回はこの第9回日本運動器理学療法士学会の一般演題の中から興味深い研究をいくつかご紹介させていただきます.

greyscale photography of skeleton

 

 

 

 

 

 

 

 

足関節骨折患者に対するシーネ固定中の下腿三頭筋マッサージ効果に関する研究

【目的】

足関節果部骨折とは外果・内果・後果骨折の総称であり,転倒などで受傷しやすい外傷の一つである.

治療としては保存療法と観血的骨接合術などの手術療法があり,どちらも一定期間ギプスもしくはシーネで足関節を固定することが多い.

我々は,診療録を後方視的に調査し,足関節骨折患者66例全てにおいて,固定除去後,足関節背屈可動域制限が生じていたことを報告している(横地ら,2020).

当院では,固定除去後の足関節拘縮予防目的に,ギプス・シーネ固定中より足趾把持自動運動を1日20回以上実施している.

その運動効果を,前向きに検証したが,固定除去後の足関節背屈可動域制限の予防効果には至らなかった.

この背景には足趾把持自動運動では,足関節背屈可動域制限の主な原因となる下腿三頭筋へアプローチできないことが関連していると考えられる.

一方,関節運動を伴わず下腿三頭筋へ直接アプローチができる方法としてマッサージ介入が挙げられる.

そこで,今回,足関節骨折患者のシーネ固定部より露出している下腿三頭筋に対してマッサージを行うことにより,下腿三頭筋の柔軟性改善を図り,固定除去後の足関節背屈可動域制限予防効果の検証を行った.

 

【方法】

対象者は,2020年10月から2021年4月までに,当院整形外科を外来受診もしくは入院した足関節骨折患者で,シーネ固定期間中に下腿三頭筋マッサージ介入が可能で,固定除去後の足関節背屈可動域測定を行った16例を対象とした.

方法は,通常の理学療法に加え,介入毎にシーネ固定部より露出している下腿三頭筋に対し,3分間のマッサージを週6回以上実施した.

医師の指示のもと,固定除去当日に測定を実施した.

測定項目は,足関節可動域(背屈・底屈),内果・外果上縁部の周径,下腿最大周径とした.

左右足関節可動域や周径の比較は,対応のあるt検定を用い,有意水準は5%未満とした.

 

【結果】

本研究において,3分間のマッサージ介入を行ったシーネ固定側の足関節背屈・底屈可動域ともに,非固定側と比較して,有意に可動域が低下していた.

平均値で比較すると,シーネ固定側の足関節背屈可動域は-4.8±7.2°であり,非固定側は10.8±4.9°であった.

内果・外果上縁部の周径は,シーネ固定側が非固定側と比較して有意に太かったが(p<0.01),

下腿最大周径は,シーネ固定側が非固定側と比較して有意に細かった(p<0.01).

 

【結論】

本研究の結果,3分間のマッサージでは足関節背屈制限を予防することができなかった.

しかし我々が以前行った足趾把持自動運動効果の検証において,ギプス・シーネ固定側の背屈可動域平均値は,-13.7±12.4°であり,下腿三頭筋マッサージの方が,足関節背屈可動域は大きく,足関節固定期間中のアプローチ方法として,有効である可能性が示唆された.

また内果・外果上縁部周径は,手術の侵襲などによる浮腫の影響において固定側の方が太くなっており,足関節可動域制限に影響している可能性が考えられる.

今後は,マッサージの時間や強さを検討し,足関節骨折患者の固定期間中の拘縮予防方法を確立していく必要がある.

 

感想

これは臨床的にも面白い研究ですね.

残念ながら有意な結果は得られておりませんが,固定期の理学療法って非常に重要だと思いますので,今後もこういった視点での研究は重要でしょうね.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

脊椎圧迫骨折の椎体圧潰進行の抑止に対する運動療法の検討

【はじめに,目的】

超高齢社会では,骨粗鬆症に起因する脊椎圧迫骨折は増加傾向である.

脊椎圧迫骨折に関して,コルセット装着後に体幹筋群の筋力強化維持の運動療法が,椎体圧潰進行の抑止につながるかを検討した.

また,椎体圧潰率の経時的変化や腰椎前弯角・ADL・在院日数など多角的に比較した報告が少ないため,今回比較検討した.

 

【方法】

2018年2月から2020年7月までの当院入院患者の腰椎圧迫骨折21例で,年齢81.2±9.2歳の女性を対象とし,体幹筋群の運動療法介入群10名(以下:A群)と運動療法介入なし群11名(以下:B群)を目的変数とし比較した.

手術後や椎体後方骨折症例は除外した.

体幹筋群への運動療法に関しては,コルセット装着し受傷2週後より,座位または立位にて,体幹が伸展しないように肩峰と大転子が床面に対して垂直にし,赤羽らのセラバンドトレーニングを実施した.

セラバンド(ThehygienicCoroporation:黄色)を両上肢にて把持しながら肩関節を90°から120°まで挙上し,10回を1セットとし,3セット実施.

加えて両手掌を頭部に乗せて,腹式呼吸にて腹圧を高めた状態で姿勢保持し,10秒保持を1セットとし,10セット実施した.

圧迫骨折の圧潰率の測定には,定量的評価法(QM法)でX線側面像を用い,椎体前縁をA,椎体中央部をM,椎体後縁をPとし,楔状変形はA/P,魚椎変形はM/Pとして測定した.

圧潰進行率は,貞松らの調査時圧潰率から受傷時圧潰率を減じた値を受傷時圧潰率で除した値とした.

年齢,受傷機転,受傷時,1,2,4,8,12週後の圧潰率・圧潰進行率,入院時腰椎大腿骨YAM値,Alb値,入退院時FIM,在院日数,入退院時腰椎前弯角を比較した.

検定方法は,Mann-WhitneyUtest・χ2検定を行い,有意水準を0.05%未満とした.

 

【結果】

A群とB群では,椎体圧潰率と椎体圧潰進行率に関して受傷時から4週までの有意差は認められなかったが,8週,12週に関して有意差が認められた(P<0.05).

その他の比較項目は,有意差はなかった.

 

【結論】

本検討では年齢・受傷機転・栄養状態・在院日数・入院退院時ADLの有意差がなく,これらとの因果関係は除けた.

赤羽らは脊椎圧迫骨折における上肢を挙上した体幹筋群の運動療法により,重力の圧迫に加えて脊柱起立筋の活動や広背筋の上方への牽引力が椎体同士の圧縮力を高め骨折部が安定すると述べいる.

本検討も両上肢を挙上する運動療法であり,それに加えて腹式呼吸で姿勢保持にて,インナーマッスル・腹圧・スタビリティを高められ,椎体の圧潰進行への抑止効果につながったのではないかと考えた.

8週・12週後に椎体圧潰の抑止効果があったことから,体幹筋の筋力強化維持の運動療法を継続することの重要性が示唆された.

当院は早期にコルセットを装着し積極的に薬物療法も行っている.

今後も骨粗鬆症・脊椎圧迫骨折の一次・二次予防を行い,薬物療法やコルセットの装具療法と併用して,偽関節や疼痛に留意しながらの早期から椎体圧潰進行の抑止に対する体幹筋群の維持強化の運動療法が必要と考えた.

 

感想

これも臨床的に意義のある研究ですね.

積極的な体幹筋群のトレーニングが受傷後8週・12週における椎体圧壊の抑制に寄与するというのは非常に大きな結果ですね.

脊椎圧迫骨折後の理学療法って歩いて終わりなんてパターンが少なくないですが,今回の結果から考えると圧壊抑制に向けたトレーニングの重要性が示唆されますね.

 

今回は第9回日本運動器理学療法士学会の一般演題の中から興味深い研究をいくつかご紹介させていただきました.

明日からもしばらく第9回日本運動器理学療法士学会の一般演題の中から興味深い研究をご紹介させていただきます.

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