どういった脳卒中片麻痺症例がアームスリングをつけるべきなのか?

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どういった脳卒中片麻痺症例がアームスリングをつけるべきなのか?

上肢に弛緩性麻痺を有する脳卒中片麻痺症例に対して古くから使用されているのが三角巾やアームスリングです.

しかしながら三角巾やアームスリングの使用に関してはこれまでも賛否両論の意見がありました.

結局のところ誰でもかれでもアームスリングと装着するべきということではなくて,使用すべき症例と使用すべきでない症例がいるということだと思いますが,どういった症例がアームスリングを装着すべきなのでしょうか?

今回はどういった脳卒中片麻痺症例がアームスリングをつけるべきなのかを明らかにした研究論文をご紹介させていただきます.

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今回ご紹介する論文

Physiother Theory Pract. 2022 Jun;38(6):729-736. doi: 10.1080/09593985.2020.1799458. Epub 2020 Aug 2.

Predictors of the effect of an arm sling on gait efficiency in stroke patients with shoulder subluxation: a pre-post design clinical trial

Yeon-GyuJeong 1, Yeon-Jae Jeong 2, Hyun-Sook Kim 1, Kyu Hoon Lee 2

Affiliations expand

PMID: 32741231 DOI: 10.1080/09593985.2020.1799458

今回ご紹介する論文は2022年に掲載された論文です.

 

 

 

 

 

 

 

研究の背景

Background: The predictors affecting the gait efficiency were not known for the arm sling, including general and stroke-related characteristics.

アームスリングの使用が歩行効率に影響を与える予測因子は,一般的な特性や脳卒中関連の特性を含めて不明でありました.

 

 

 

 

 

 

 

研究の目的

Purpose: This study investigated the predictors of gait efficiency when walking with and without an arm sling in individuals with hemiplegia with shoulder subluxation.

この研究では,肩関節亜脱臼を伴う片麻痺症例において,アームスリングを装着した場合と装着していない場合の歩行効率の予測因子について検討することを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の方法

Methods: A total of 57 individuals with shoulder subluxation were recruited. Individuals assigned odd numbers walked with the arm sling first and those with even numbers walked without the arm sling first in a pre-post design. Outcome measures were the energy cost, energy consumption, and heart rate during a 6-min walk test and a 10-m walk test. Gait efficiency is defined as energy consumption divided by the distance walked, with lower energy costs reflecting higher gait efficiency. Age, MMSE scores adjusted for education, and significant variables (p < .01) in the univariate analyses were entered into multiple regression analyses, to identify the predictors of changes of gait efficiency.

肩関節亜脱臼を有する57例を対象としております.

奇数番号の症例には先にアームスリングを装着して歩行し,偶数番号の人は先にアームスリングを装着しないで歩行するという事前事後デザインを用いております.

アウトカム指標は6分歩行試験および10m歩行試験時のエネルギーコスト,エネルギー消費量,心拍数としております.

歩行効率はエネルギー消費量を歩行距離で割ったものと定義し,エネルギーコストが低いほど歩行効率が高いことを反映するものです.

年齢,学歴で調整したMMSE得点,単変量解析で有意な変数(p<.01)を重回帰分析に入力し,歩行効率の変化の予測因子を同定しております.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結果

Results: Energy cost and energy consumption were lower and walking endurance was higher when walking with an arm sling than when without an arm sling. Spasticity (p = .02), shoulder pain (p = .03), consistency of handedness and sling position worn (p = .02), function of upper extremity (p = .03) and walking aids (p = .01) were predictors of gait efficiency.

アームスリングを装着して歩行した場合,装着していない場合よりもエネルギーコストおよびエネルギー消費量が少なく,歩行持久力が高い結果でありました.

痙性(p=0.02),肩の痛み(p=0.03),装着する手とスリングの位置の一貫性(p=0.02),上肢の機能(p=0.03)および歩行補助具(p=0.01)が歩行効率の予測因子となりました.

 

 

 

 

 

 

 

研究の結論

Conclusion: An arm sling may improve gait efficiency in individuals with hemiplegia and shoulder subluxation able to walk with a single cane, who have consistency in handedness and sling position, and with good upper extremity function, including no shoulder pain and reduced spasticity.

片麻痺と肩関節亜脱臼を有し一本杖での歩行が可能で,スリングの装着位置に一貫性があり,肩の痛みがなく痙性が低下しているなど上肢機能が良好な場合,アームスリングは歩行効率を改善する可能性があります.

 

今回はどういった脳卒中片麻痺症例がアームスリングをつけるべきなのかを明らかにした研究論文をご紹介させていただきました.

今回の結果から考えると以下のような症例がアームスリングを装着すべきということですね.

 

片麻痺と肩関節亜脱臼を認めている

一本杖での歩行が可能である

アームスリングの装着位置が良好である

肩の痛みがない

痙性が低下している

 

ここ最近のシステマティックレビューではアームスリングの歩行効率に対する効果は乏しいとされておりましたが,症例によってはアームスリングの使用が必要な症例がいるといった結果だと思います.

症例の状況に応じてアームスリングの必要性について考える必要がありそうですね.

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