理学療法士・作業療法士の時間外労働と残業

働き方
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理学療法士・作業療法士の時間外労働

時間外労働(残業)ってできればしたくありませんよね.

職場によってさまざまだと思いますが,われわれの業界でも時間外労働をしてもサービス残業扱いといった職場も少なくないようです.

理学療法士というのはそもそも効率よく仕事をすれば,早く仕事を終わらせることができるといった職種ではありません.単位(時間)の縛りがありますので,職場ごとに定められているノルマの単位数をこなせば,クライアントへの対応が終わればある程度の時間になっているということが多いと思います.

クライアント対応だけでなく,診療記録やカンファレンス,委員会や実習生の指導などに加え,科内の勉強会などが定期的に開催されれば,職場によっては定時に帰れるなんていうのは夢の夢かもしれません.

今回は理学療法士の時間外労働について考えてみたいと思います.

詳解働き方改革法の実務対応 時間外労働・割増賃金・年休・非正規社員待遇等の改正 [ 布施 直春 ]

 

 

 

 

 

 

 

 

働き方改革

平成29年3月に首相官邸の働き方改革実現会議において「働き方改革実行計画」が決定され,時間外労働の上限規制等が設けられました.

この時間外労働の上限規制によると時間外労働の限度を特例の場合(労使が合意し労使協定を結んだ場合)においても月平均60時間とすることが定められました.

またこの規制によると単月では休日労働を含んで100時間未満とするといったことも明示されております.

月平均というと1日当たり3時間ということになりますが,毎日3時間の残業を強いるような職場というのは今の世の中の流れを考えればブラック企業ならぬブラック病院・ブラック施設と考えた方が良いでしょう.

この時間外労働の上限規制には,罰則による強制力があり,例え労使が合意した場合であってもこれを上回ることはできません.

医療機関では特に医師の時間外労働が深刻化しており,今後も医療機関における時間外労働というのは取り締まりがますます厳しくなることが予想されます.

 

 

 

 

 

 

 

理学療法士の時間外労働

時間外労働による過重労働は脳血管疾患・心疾患・精神障害になることが科学的にも明らかにされており,労働者とその家族のみならず,社会的な損失にも繋がります.

私の職場ではそんなことはありませんが,リハビリテーション関連の職場でも,過度な時間外労働が原因で体調を崩す理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が少なからず存在する現状があります.

 

日本理学療法士協会の調査によると,時間外労働が月のうち0時間と回答した理学療法士は4分の1にすぎません.

5時間以内の残業がおおよそ5割程度を占めるわけですが,月の時間外労働時間が20時間を超える理学療法士も20%程度あり,深刻なのは5%程度は時間外労働が40時間を超えるといった点です.

このように時間外労働の実態に関しては職場によってかなり差があると考えた方が良いでしょう.

また時間外労働に対してどの程度手当が支給されているかといった問いに関しては,100%支給されているのは約4割で,おそろしいことに約3割の理学療法士が完全にサービスで残業をしているといった状況です.

 

 

 

 

 

理学療法士は時間外に何してるの?

時間外に理学療法士がどういった業務をしているのかについても調査がなされております.

医療分野では診療録記載(36.1%),関係書類の記載(34.8%),診療補助(10.8%)が多く,介護福祉分野では関係書類の記載(63.7%),診療録記載(12.1%),諸会議(11.0%)等が大部分を占めます.

共通するのは診療録の記載です.

単位のノルマにもよりますが,ノルマが多く課されている施設では当然ながら時間内に記録を終わらせることができず,時間外に記録をしているといった状況ではないでしょうか.

また関連書類の記載を時間外にといった理学療法士も多いようです.

計画書がその代表的な書類だと思いますが,ここ最近は診療報酬・介護報酬の改定によって関連書類というのも増えておりますので,関連書類の増加が時間外労働増加の一因になっていることは間違いないでしょう.

会議と委員会が時間外に開催される場合には,当然時間外労働が発生してしまうわけです.

最近は時間内に委員会を行う職場も増えてきているようですが,まだまだ一部でしょうね.時間外にこういった委員会や会議が行われる一番の原因は医師のスケジュールが合わないといったことが多いと思います.

医師不足が理学療法士の時間外労働にも影響を与えていると考えることができるでしょう.

 

医療分野の診療補助というのは外来対応でしょうね.勤労者や学生の外来って時間外に行われる場合も少なくありませんので…また理学療法士や作業療法士に多いのが科内の研修会です.

理学療法士や作業療法士は専門職といっても一度資格をとれば終わりというわけではなく,生涯学習する必要がある職業です.

病院・施設のリハビリ部門で行う勉強会を時間内に開催しているところというのは,ほとんどないと思いますし,勉強会の参加も任意とは言いつつ結局は必須のような雰囲気になっているところが多いと思います.

加えてこの研修会はサービス残業というケースがほとんどだと思います.

ベテラン理学療法士にとってはそんなのはみんなやってきたんだから当たり前だといったような考えの方が多いと思いますが,正直なところ時代に合ってないと思います.

 

 

 

 

 

 

なぜ時間外労働が発生するのか?

このように理学療法士の時間外労働はさまざまですが,いずれも時間外労働が発生する原因というのは明白です.

クライアントの対応時間が長い,つまり取得単位のノルマが多いといった点が一番の問題でしょう.

例えばクライアント対応は就業終了の1時間前までにするといったルールを作って,残り1時間で間接業務に取り組むようにすれば時間外労働は減少するでしょうし,その30分を研修に利用するとすれば,サービス残業も少なくなるでしょう.

ただどうでしょうか?例えばスタッフが1日当たり30人勤務しているような医療機関で療法士の60分で3単位(脳血管や運動器によってばらつきがありますので簡易的に1単位を200点=2,000円とすると6,000円)のリハビリテーション提供料が減少すると,1日当たり18万円の減収につながってしまうことになります.

365日稼働しているとすれば,月当たり約500万円の減収です.

年間にすると6,000万円の減収になるわけです.ブラック病院では管理者が残り1時間で間接業務に取り組みましょうなんて言わないはずです.これだけ違うんですから…

 

 

 

 

 

 

時間外労働を減らすには?

まず時間外労働を減らすには改訂された法律を管理職が十分に理解する必要があると思います.

私自身はマンパワーを確保した上で,1人の療法士当たりのクライアントへの対応時間を減らす以外に,根本的に時間外労働を大幅に削減する方法はないと考えております.

それ以外の取り組みで時間外労働を減少できたとしても,たかがしれたものだと思いますし,クライアントへの対応時間を減少する以外の方法で時間外労働を大幅に減少させられたとすれば,それまでよっぽど非効率な働き方をしていたか,よっぽどさぼっていたかのどちらかだと思ってしまいます.

 

 

 

 

 

 

転職の際に時間外労働の少ない職場を考えるなら

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時間外労働と、残業代請求をめぐる諸問題 [ 河野順一 ]

 

ワークライフクライアントバランス,この造語は以前の記事で私が勝手に作った造語です.

療法士の立場も様々です.家庭での家事・育児など重要な役割を果たす必要がある方もいれば,大学院進学など職場以外の時間がもう少し欲しいという方もいるでしょう.

多様な職員全員がいきいきと働ける職場環境を作ることは,良好なサービスを提供するためにも不可欠です.かといって職員のためにクライアントへのサービスの質が低下してしまうことも避けなければなりません.

そのためには人員確保しか道はありません(他の方策は付け焼刃にすぎません).

簡単ではありませんが,時間外労働について真剣に考えなければいけない時代になりましたね.

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