簡易的な膝サポーターって本当に効果あるの?

投稿者: | 2019年12月2日

 簡易的な膝サポーターが初期変形性膝関節症例の疼痛および 

 膝関節内反モーメントに与える影響 

変形性膝関節症例に対して理学療法士が膝関節内反モーメントの軽減や保温を目的として膝サポーターを勧める機会は多いと思います.

金属支柱が側方に入ったサポーターが膝関節内反モーメントの軽減に有効であることは想像がつきますが,金属支柱付きのサポーターって着用率が低いといったデメリットもあります.

そういった面で金属支柱の無い簡易的なサポーターが選択されることも多いですが,スリーブと呼ばれるような簡易的な膝サポーターでも膝関節内反モーメントの軽減が得られるのでしょうか

今回は簡易的な膝サポーターの種類によって初期変形性膝関節症例の疼痛および膝関節内反モーメントに与える影響が異なるのか否かを明らかにした研究報告を紹介させていただきます.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回紹介する論文 

Proc Inst Mech Eng H. 2019 Nov;233(11):1132-1140. doi: 10.1177/0954411919874614.

Effects of simple knee sleeves on pain and knee adduction moment in early unilateral knee osteoarthritis.

Mohd Sharif NA, Usman J, Wan Safwani WKZ, Siew Li G, Abdul Karim S, Mohamed NA, Khan SS, Khan SJ.

今回ご紹介いたします論文は2019年に掲載された新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の目的 

Knee sleeves are often prescribed to alleviate pain in people with early knee osteoarthritis.

However, the biomechanics underlying their pain-relieving effect are still not well understood.

This pre-post study aims at evaluating and comparing the effects of two different types of knee sleeves on knee adduction moment.

膝スリーブは初期変形性膝関節症例の疼痛軽減を目的として用いられることが多いです.

しかしながらその疼痛軽減におけるバイオメカニクスはまだ明らかにされておりません.

この研究では2種類の異なる膝スリーブが膝関節内反モーメントに与える影響を比較することを目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

Patients with clinically diagnosed knee osteoarthritis were recruited from the University of Malaya Medical Centre and were randomly assigned to two test groups using (1) a simple knee sleeve and (2) a simple sleeve with patella cutout.

Knee adduction moment was collected using the Vicon motion capture system with two Kistler force plates. Pain, stiffness and physical functions were recorded using the Western Ontario and McMaster Universities Osteoarthritis Index. All measurements were taken before, immediately after and at the completion of 6 weeks of application (primary time point).

変形性膝関節症と診断された症例を無作為に,簡易的な膝スリーブを装着する群と,膝蓋骨が出せるタイプの簡易的な膝スリーブを装着する群に分類しております.

膝関節内反モーメントは2枚の床反力計とVICON動作解析システムを用いて評価を行っております.

疼痛,関節の硬さ,身体機能についてはWOMACを用いて評価が行われております.

全ての評価は,介入前,装着後即時のタイミング,装着後6週間で評価を行っております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結果 

In total, 17 participants with early unilateral knee osteoarthritis (47.7 (9.7) years) completed the study.

Overall results show significant reduction in pain, early stance and late stance knee adduction moment and increased walking speed after 6 weeks of both knee sleeves application.

研究の結果ですが,最終的に17例の初期変形性膝関節症例を対象としております.

膝スリーブの種類に関わらず(膝蓋骨が露出できるか否かを問わず),膝スリーブ装着によって立脚初期および立脚終期における膝関節内反モーメントが減少し,6週後の歩行速度も有意に向上しております

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究結果から得られる考察 

This study results suggest that knee sleeves can reduce knee adduction moments in early unilateral knee osteoarthritis by 14.0% and 12.1% using the simple sleeve and the sleeve with patella cutout, respectively, and can potentially delay disease progression.

In addition, knee sleeve with patella cutout does not provide additional benefits when compared to the simple knee sleeve.

この研究結果から膝スリーブは初期変形性膝関節症例の膝関節内反モーメントを軽減させ,膝蓋骨を覆うタイプの膝スリーブで14.0%,膝蓋骨を出すタイプの膝スリーブで12.1%の膝関節内反モーメントを軽減させ,変形性膝関節症の進行を遅らせる可能性が示唆されます.

またこの結果から,膝関節内反モーメントの軽減に関しては,膝蓋骨の出すかどうかといった装具のタイプによる相違は無いことが明らかとなりました.

 

今回は簡易的な膝サポーターの種類によって初期変形性膝関節症例の疼痛および膝関節内反モーメントに与える影響が異なるのか否かを明らかにした研究報告を紹介させていただきました.

簡易的なスリーブタイプの膝装具でも膝関節内反モーメントを軽減させることができるというのは心強い結果ですね.

また膝蓋骨を出すか出さないかといったスリーブのタイプによる相違が無かったという結果も興味深いと思います.

今回は通常歩行で動作解析が行われておりますので,しゃがみ動作や階段昇降等の膝関節屈曲を伴う,膝蓋骨の運動が要求される動作ではまた結果が異なることも予測されますね.

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