大腿骨近位部骨折例に対する骨粗鬆症治療の必要性

投稿者: | 2018年12月3日

 大腿骨近位部骨折例に対する骨粗鬆症治療の必要性 

長く仕事をしていると,昨年骨折で入院して退院したクライアントが,再度別の部位の骨折で入院してくるということはよく経験することだと思います.

せっかく機能が回復し退院を果たしたにもかかわらず,短期間で再骨折となれば,われわれ理学療法士・作業療法士としても,もう少し入院時に再骨折予防を目的とした介入ができなかったのだろうかなどと悔しい思いをすることもしばしばです.

再骨折を予防するためには,転倒を予防することはもちろんですが,骨粗鬆症治療を積極的に行うことが重要となります.

骨粗鬆症の治療が十分に行われていなければ,再転倒によって他部位に骨折が発生しやすくなるのは容易に予測できるわけです.

今回は理学療法士の視点から見た骨粗鬆症治療について考えて見たいと思います.

 

 

 

 

 ドミノ骨折という概念を理解しよう 

脆弱性骨折は再発することが多く,この再発骨折はいわゆるドミノ骨折です.

ドミノ骨折の予防にはまず,骨を強くすることと転ばないことであります.

そのためには,骨粗鬆症のチェックを行い,骨強度を高めておくことが重要となります.

脆弱性骨折の繰り返し,つまり再発を予防するには,骨粗髭症の治療を継続することとなります.

また脆弱性骨折の患者のほとんどが,骨粗鬆症と診断されていながら,内服など骨粗髭症の治療継続率が極めて低いことが問題視されております.

2015年現在,わが国には1,280万人の骨粗髭症患者が存在するといわれておりますが,加療率は25%程度にすぎず残り75%が未治療の状態です.

 

 

 骨粗鬆症性骨折の再骨折リスク 

大腿骨頚部・転子部骨折を受傷するクライアントの80%に椎体骨折が認められるとの報杵があり,初回の椎体骨折を受傷したクライアントにおいては大腿骨頚部・転子部骨折を発生するリスクが非常に高いことが示唆されております.

わが国において骨粗潅症の治療を受けているクライアントは4~10%程度といわれており,これは骨粗鬆症そのものが’初回の骨折を契機として発見される「沈黙の疾忠」としての特徴ともいえます.

 

 

 

 骨粗鬆症治療 

日本骨粗鬆症学会では,「骨折の連鎖を断つ」ことを目標とし,骨粗鬆症に対する検診の普及と治療の必要性を提示しているわけです.国際骨粗鬆症財団でも「Stop at One!」を合言葉に,再骨折予防の啓発を行っております.

骨粗鬆症対する治療は薬物療法と運動療法の2つに大別され,運動療法だけでなく薬物療法が行われているか,服薬の継続が行われているかに注意する必要があります.

骨粗鬆症治療薬にはさまざまな薬剤がありますが,代表的なものとしては骨吸収を抑制する薬であるビスフオスフォネート薬があり,椎体骨折だけでなく大腿骨骨折に対する高い治療効果が明らかにされております.

また近年では骨の形成を促進する甲状腺ホルモン薬であるテリパラチドが開発され,その有効性が報告されております.

理学療法士としても骨粗鬆症のリスクとともに骨粗鬆症治療が開始されているのか,薬物療法の継続がなされているのかについて,フォローすることが重要となります.

また運動療法を行うことによって骨粗鬆症を予防するとともに,筋力やバランス能力などの観点から転倒リスクを低減させることなどが報告されている.

 

日本整形外科学会ダイナミックフラミンゴ療法は.開眼片足立ちを左右1分間ずつ行うものであり.大腿骨頸部の骨密度の増加を認め,骨密度の改善と転予防に有用であることが報告されております.

このように,大腿骨頸部・転子部骨折に対しては,骨折に対する手術後の理学療法だけでなく,退院後の運動療法の継続や活動性の維持を回ることが重要であり,二次骨折う予防に主眼を置いたアプローチを行う必要があります.

さらには骨折そのものを減少させるための骨そしょう症に対する治療の開始,服薬継続にも注意することが重要となります.

大腿骨頸部・転子部骨折は理学療法士にとって関わりの多い疾患の1つです.

そのためにも診療ガイドラインに目を通し最新のエビデンスを理解することが必要でとなりますが,現在のところ本疾患に対する理学療法診療ガイドラインは存在しません.

 

 

 骨粗鬆症治療の継続率がなぜ低いのか? 

脆弱性骨折の原因となる骨粗髭症の治療継続率の低下の原因としては,高齢者の服薬コンプライアンスの低下や,高齢のため通院継続が困難になってしまうことが挙げられます.

また骨粗鬆症には疼痛等の自覚症状がなく,服薬などの治療の実感効果がはっきりしません.

そのため治療への積極性が乏しくなってしまうことが一因と考えられます.

さらには骨粗鬆症の指標となる骨密度も,半年・1年ごとに継続的に通院し,内服など治療を行っていても著しく改善する症例はまれで,加齢に伴う低下,進行を防止していくことが重要となります,そのことをクライアントになかなか理解してもらえない場合には治療が中断してしまうわけです.

加えて脆弱性骨折を起こした後の骨粗髭症の治療に対し,現状の医療保険では,大学病院や総合病院,回復期リハなどの包括医療により,骨粗鬆症の薬物療法はコストが高いため省かれてしまう現状があります.

 

 

 

今回は理学療法士の視点から見た骨粗鬆症治療について考えてみました.骨粗鬆症治療に理学療法士がもう少し関心を持ち,運動介入による骨密度の改善効果を今後公表していく必要がありそうでね.

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