脊椎圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術(BKP)(理学療法士も必見)

投稿者: | 2018年11月14日

 脊椎圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術 

10年くらい前から脊椎圧迫骨折に対する外科的治療法として経皮的椎体形成術に関する報告が増えてきております.

本邦ではまだまだ経皮的椎体形成術を行っている施設は少ないものの,学会等でもその効果に関する報告が増えてきております.

今回は脊椎圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術についてご紹介させていただきます.

 

 

 

 脊椎圧迫骨折例に対する整形外科的治療 

高齢者の脊椎は骨粗鬆症のため脆弱性が高いため,無理な姿勢や軽微な外傷で脊椎前方支柱に圧壊が生じます.

いわゆる脊椎圧迫骨折ですが,圧迫骨折が生じると強い腰痛や背部痛が出現し,長期間の安静を余儀なくされます.

また骨癒合が遷延すると,偽関節となり,長期的に疼痛に悩まされることになります.

本邦では脊椎圧迫骨折に対しては保存的に治療が行われることが多く,受傷後早期にコルセットを採型し,不安定性が強い症例を除いては,受傷後1週でコルセットを装着して離床を進めるといったケースが多いと思います.

このように脊椎圧迫骨折例に対する整形外科的治療は保存療法が一般的だったのですが,最近では特殊な手術器具と医療用セメントを用いた外科的治療が行われるようになってきております.

 

 

 経皮的椎体形成術とは? 

経皮的椎体形成術とは,皮膚から針を挿入し風船(Balloon)を骨折した骨の中で膨らせた後,セメントを充填して曲がった背骨を矯正する手術です.別名として椎体形成術(BKP)とも呼ばれます.

この経皮的椎体形成術は,これまで自由診療や先進医療として行なわれていたわけですが,5年ほど前に保険適応となりました.

この手術では骨折した背骨の中で風船を膨らませスペースを確保し,粘度の高いセメント(PMMAセメント(人工骨))を留置します.

この手術は血管へのセメント漏出などの合併症が極めて低く,手術直後から劇的に疼痛に改善が得られるのが特長です.

経皮的椎体形成術の適応にも限界があり,骨脆弱性著しい症例や椎体の圧壊が強く椎体が扁平化してしまっている場合,神経圧迫を合併している場合には施行できません.

また手術直後より疼痛に改善が得られることが多いのですが,骨粗鬆症そのものには改善が得られませんので,隣接椎体に続発する圧迫骨折をいかに防ぐかが課題となります.

原則として手術翌日より起立・歩行を開始され,入院期間は最短で約7日程度です.

経皮的椎体形成術を行った場合にも,保存療法の場合と同様にコルセットの装着が必須となります.

 

 

 

 経皮的椎体形成術は今後普及するのか? 

まだまだ脊椎圧迫骨折に対して経皮的椎体形成術を施行している医療機関は少ないのが現状です.

平成24年の保険診療改正により,BKP手術は「経皮的椎体形成術」として正式な手術として認められました.

BKPの手術が普及しない一番の原因は,手術を行うにあたっては認定資格が必要で,認定病院での手術実習を受講し試験に合格する必要があります.

それでなくとも多忙の整形外科医師が診療を休んでこの資格を取得するところに大きなハードルがあると感じております.

 

 

 

 経皮的椎体形成術の科学的根拠は? 

脊椎圧迫骨折に対する経皮的椎体形成術の効果については,ランダム化二重盲検比較試験によって検証がなされております.

脊椎圧迫骨折は偽関節への進行に伴う疼痛の遷延や骨変形に伴う呼吸器系の問題を引き起こすため,この経皮的椎体形成術は非常に画期的な治療法だと考えられますが,研究レベルでは一致した結果が得られておらず,有効性やリスク,費用対効果の観点から経皮的椎体形成術に否定的な見解もあります.

 

このランダム化二重盲検比較試験では,2011~2015年にオランダの病院4施設で,急性の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折に伴う疼痛に対する経皮的椎体形成術の効果を偽手術と比較されております.

50歳以上で1~3カ所の圧迫骨折を認め,VASで評価した疼痛スコアが5以上の骨粗鬆症性脊椎圧迫骨折患者180人のうち,91人を経皮的椎体形成術群,89人を偽手術群にランダムに割り付け比較が行われております.

メインアウトカムは術後1日目・1週間後・1・3・6・12カ月後の疼痛スコアの変化量とし,ベースラインから1.5ポイント低下した場合を「臨床的に意義のある疼痛の緩和」と定義しております.

サブアウトカムは12カ月間の障害やQOL(生活の質)に関する評価スコアの変化量の群間差としております.

 

その結果,経皮的椎体形成術群と偽手術群のいずれにおいても,術後の全ての評価時点でベースライン時と比べた疼痛スコアの有意な改善が認められております.

しかしながら12カ月間の追跡期間における疼痛スコアの変化量については,経皮的椎体形成術群と偽手術群との間に有意差はなかったとされております.

また障害やQOLの評価スコアについては両群間で有意差を認めず,鎮痛薬の使用量についても両群に有意差が無かったとされております.

この研究では長期的な姿勢や二次的な圧迫骨折の発症率といったところはアウトカムに含まれておりませんが,長期的にみれば後彎姿勢が減少することで二次的な圧迫骨折の発症率というのも少なくなる可能性があります.

今後はこういった視点での検討も必要だと思われます.

また見逃すことができないのは経皮的椎体形成術による合併症です.

保存療法に比較すれば当然ながら合併症が出現する可能性もあるわけですので,リスクとベネフィットを考慮した上でのレビューが待たれます.

 

 

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