人工膝関節全置換術(TKA)後に日常生活動作(ADL)で気をつけることは?

人工膝関節全置換術
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 TKA後に日常生活動作(ADL)で気をつけることは? 

人工膝関節全置換術(TKA)後のクライアントに日常生活上でどこまで動作を行ってよいかを聞かれることは少なくないと思います.

理学療法士は人工膝関節の機械特性や耐用年数などを考慮した上で日常生活動作指導を行う必要があります.

今回は人工膝関節全置換術(TKA)例に対する日常生活動作(ADL)指導のポイントについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 TKA例に対する日常生活動作(ADL)指導の基本的な考え方 

人工膝関節全置換術例の日常生活動作に関して,基本的に大きな制限を設ける必要はありませんが,人工膝関節に過度な負荷や衝撃が加わることによって,人工膝関節のゆるみ,摩耗破損などの合併症を引き起こし,再置換術が必要となる場合があるため注意が必要となります.

クライアントの術前後の状態は個人差が大きいため,まずは主治医に相談し,クライアントにあった方法で指導を行うことが重要となります.

ただ人工膝関節全置換術(TKA)後にあまり日常生活を制限しすぎてしまうと,せっかく手術を行ったのに著しくQOLが低下してしまいます.

ここからは日常生活動作別に日常生活動作指導のポイントについてご紹介させていただきます.

 

 

 

 

 歩行(ウォーキング) 

厚生労働省の平成28年国民健康・栄養調査結果によると,65歳以上の1日の歩数状況は男性5,744歩,女性4,856歩であったと報告されております.

一方で人工膝関節全置換術(TKA)後3カ月の平均歩数は3,000歩程度であったと報告されており,健常高齢者の歩数状況に比べ明らかに1日の歩数が少ないわけです.

歩行は最も一般的に行われている身体活動の一つですが,人工膝関節全置換術後のクライアントは手術による疼痛軽減が得られても身体活動量は低下したままであることが明らかにされております.

1日の平均歩数で4,000歩以下は閉じこもり,5,000歩以上でHRQOL(health related quality of life)低下の予防,7,000歩以上で下肢筋力などの体力予防,8,000歩以上で高血圧や高血糖の予防の目安になることが明らかにされており,計画的・継続的に実施できるように生活習慣の中に取り入れていく必要性があります.

しかし,何事にも限度があり,翌日に疲労や痛みを持ち越すようであれば過度な歩行と考え,調節して歩くように心がけることが重要となります.

 

 

 

 

 しゃがみ込みや正座 

術後の膝関節の屈曲角度は,術前の屈曲角度に相関します.

したがって,術前にしゃがみ込みや正座が行えていなかったクライアントにおいては,術後それらを獲得するのは困難です.

また,正座可能な膝関節の屈曲角度を獲得できたとしても,正座は亜脱臼位となるため,人工膝関節にかかる負担が大きいことを考えるとあまり勧めることはできません.

人工膝関節のデザインや手術手技も影響するため,まずは主治医に相談することが勧められます.

 

 

 

 

 床上動作 

床上動作では,術後のクライアントに無理のない長座位から立位までの動作を獲得する必要があります.

人工膝関節に加わる負荷を考盧し,術側での立て膝はできるだけ避けるよう指導します.

特に, PS型のTKAを受けているクライアントは,膝立てを行うことでpost-cam機構の破綻が生じる可能性があるため注意が必要となります.

CR型では膝立てを許容する場合も多いです.

 

 

 

 

 自転車や車の運転 

自転車を運転するためにはペダルを回転させる膝関節の可動性が必要であり,約110~120°必要とされております.

またサドルの高さは,またがった時に両足先が地面につく程度に調整するのが理想的です.

これはいざという時にしっかり体を支え,転倒しないことが重要であるためです.

一方でサドルの高さが低くなると,大きな膝関節の屈曲可動域が必要となるため,膝関節屈曲可動域と転倒の危険性を考慮した上で高さを設定する必要があります.

車の運転は,危険を察知して素早くブレーキを使用できるかが問題になります.

基本的に,クライアント本人の主観的な判断や主治医の判断により運転再開となることが多いです.

それでも不安であるというクライアントには,都道府県警察の運転適性相談窓口を利用することを勧めるとよいでしょう.

実際に運転する際は運転そのものもですが乗降動作にも注意が必要です.

乗車する際にはまず座席に腰を下ろしてから足を車内に入れるようにします.

降車する際には,逆の動作順で行い,膝関節への過剰な負荷やひねりを避けるよう努めます.

 

 

 

 

 自宅の浴槽や温泉の入浴 

人工膝関節全置換術後,最も注意すべき合併症は感染です.

入浴は,痂皮が剥がれた状態であれば可能です.

しかし,温泉など不特定多数の人が入るところでは,細菌が繁殖している可能性が考えられるため,少し時期を遅らせてから入

浴するほうが安全です.

いずれにしても,入浴前には主治医に相談することを勧められます.

万が一,入浴後に局所の腫脹・熱感・疼痛.発赤などの所見に加え,可動時痛・歩行時痛などを認め,発熱などの症状を呈した場合は速やかに主治医の診察を受ける必要があります.

また感染の危険因子として,高齢・基礎疾患(関節リウマチ, エリテマトーデス)・多数回関節手術・ステロイド投与・合併症(糖尿病など)などが挙げられます.

皮膚の創傷治癒過程(第一期:炎症反応期,第二期:増殖期,第三期:成熟期)を十分に理解した上で,入浴の時期を決定する必要があります.

 

 

今回は人工膝関節全置換術(TKA)例に対する日常生活動作(ADL)指導のポイントについて考えてみました.

理学療法士は人工膝関節全置換術(TKA)の特性を考慮した上で日常生活指導を行う必要があるでしょう.

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