人工膝関節全置換術例に対する筋膜リリースが関節可動域,疼痛,大腿二頭筋・四頭筋の筋活動に与える即時的効果

人工膝関節全置換術
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目次

 人工膝関節全置換術例に対する筋膜リリースが関節可動域,疼痛, 

 大腿二頭筋・四頭筋の筋活動に与える即時的効果 

最近,マスメディアでも筋膜リリースという言葉を見かけることが多くなりました.

筋膜リリースに関しては一般書も非常に多く販売されており,日本中の注目を集めております.

ただ理学療法士であればご存じの方も多いと思いますが,この筋膜リリースって手技も提唱している団体によって言っていることがばらばらだったりしますし,効果検証も十分に行われているとは言えず,にもかかわらず技術だけが独り歩きしている状況です.

今回は人工膝関節全置換術例に対する筋膜リリースが関節可動域,疼痛,大腿二頭筋・四頭筋の筋活動に与える即時的効果を明らかにした報告をご紹介させていただきます.

person massaging the back of a woman

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今回ご紹介する研究 

J Bodyw Mov Ther. 2018 Oct;22(4):930-936. doi: 10.1016/j.jbmt.2017.12.003. Epub 2017 Dec 6.

Immediate effect of myofascial release on range of motion, pain and biceps and rectus femoris muscle activity after total knee replacement.

E Silva DCCM, de Andrade Alexandre DJ, Silva JG

今回ご紹介する研究は2017年に掲載された比較的新しい論文です.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の目的 

The role of a myofascial release (MFR) on flexion contractures after total knee arthroplasty (TKA) has not yet been elucidated. Therefore, the purpose of this study was to determine its immediate effect on such patients.

筋膜リリースが人工膝関節全置換術後における屈曲拘縮に果たす役割は明らかにされておりません.

この研究では人工膝関節全置換術例に対する筋膜リリースが関節可動域,疼痛,大腿二頭筋・四頭筋の筋活動に与える即時的効果を明らかにすることを研究の目的としております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の方法 

In this A-B single subject experimental study, 33 TKA’s patients with knee flexion contracture had their gluteal, posterior fascia lata, posterior crural and plantar fasciae released. Patients’ knee range of motion (KROM), pain and muscle electric activity were assessed pre- and post-intervention.

対象は膝関節屈曲拘縮を有する人工膝関節全置換術例33例となっております.

筋膜リリースは殿部,大腿後外側,下腿後面,足底部に対して行われております.

介入前後で関節可動域,疼痛,筋活動を評価しております.

 

 

 

 

 

 

 

 研究結果 

An increase in electric activity of the biceps femoris muscle was identified after treatment (pre RMS = 0.087 ± 0.066 V; post RMS = 0.097 ± 0.085 V; p = 0.037). Mean gain of KROM was 5.72 ± 6.27, correspondent to an 11.9% improvement (p = 0.01). Eight subjects had their pain decreased on 56.9% (p = 0.04).

介入後に大腿二頭筋の筋活動は有意に向上しており,膝関節伸展可動域についても有意な改善が得られております.

また多くの症例で疼痛にも有意な改善が得られております.

 

 

 

 

 

 

 

 

 研究の結論 

MFR increased muscle activity, reduced pain and improved the KROM of TKA patients. Thus, MFR is a useful resource of rehabilitation after TKA.

筋膜リリースを行うことで筋活動が増加し,疼痛が軽減され,膝関節伸展可動域が改善することが明らかとなりました.

この結果から考えると筋膜リリースは人工膝関節全置換術後のリハビリテーションにおいて有用であると考えられます.

 

今回は人工膝関節全置換術例に対する筋膜リリースが関節可動域,疼痛,大腿二頭筋・四頭筋の筋活動に与える即時的効果を明らかにした報告をご紹介させていただきました.

介入効果をみてはおりますが,比較対象が設けられていない前後比較ですので,通常のストレッチや関節可動域運動と結果が異なるかどうかも明らかではありません.

今後は筋膜リリースを使用した無作為化比較試験が待たれるところですね.

コメント

  1.  砂田涼介 より:

    興味があり、文献を検索させていただきました。Pub Medの文献で全てを読むことはできませんでした。
    また私は英語を解読する力はない為、Google翻訳を用いて読みましたが、先生の和訳とほとんど変わらず、英語の論文を翻訳機能を用いて読むことが可能なのでは?と疑問をいだきました。
    筋肉に対しては多少の違いがありましたが、なにかここを読むべきだだと読む際のポイントを教えていただけないでしょうか。
    いつもブログを参考に勉強させていただいています。ありがとうございます。

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