パワートレーニングとスロートレーニング 筋トレは速くやった方がいいの?ゆっくりやった方がいいの?

投稿者: | 2019年4月12日

 パワートレーニングとスロートレーニング 

 筋トレは速くやった方がいいの? ゆっくりやった方がいいの? 

理学療法士・作業療法士がクライアントに筋力トレーニングを行う場合には,トレーニング方法を考慮することが非常に重要となります.

最近はパワートレーニングやスロートレーニングといった概念も提唱されております.

今回は理学療法士の視点でパワートレーニング・スロートレーニングについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 パワートレーニング 

日常生活動作能力は筋力よりも筋パワーとの関連が強いといった報告もあり,筋パワーと死亡率との関連性も報告されております.

さらに筋力と筋パワーの加齢変化を明らかにした報告によると,加齢に伴う機能低下は筋力よりも筋パワーでより顕著であることが明らかにされております.

筋パワーを強化するためのトレーニングとしてパワートレーニングについては,1990年代後半より多くの研究が行われるようになってきております.

筋パワーは「筋力×距離/時間」で表され,筋力と速度の両方の要素を含みます.

そのため,筋パワーの増加には,従来から行われている筋力トレーニングのみでなく,瞬発的な動きを取り入れるなど速さを意識したトレーニングを加えることが重要となります.

American College of Sports Medicine(ACSM)は,健康な高齢者が筋パワーを増加させるには,40~60%1RMの軽~中等度の強度で6~10回を1~3セット,高速の筋力トレーニングを行う方法を推奨しております.

ここで気になるのがパワートレーニングの定義です.

一般的にはパワートレーニングは,「中等度の負荷をエクササイズ全周期を通じて,あるいは少なくともトレーニングの短縮性収縮だけはできる限り速い運動を行うトレーニング」と定義しております.

パワートレーニングに関する研究レビューしたものがいくつかあります.

パワートレーニングは従来の筋力トレーニングと比較して筋パワーを増加させるのに優れており,機能の改善に関してもパワートレーニングのほうが優れているとのエビデンスが提示されています.

一方でパワートレーニングと従来の筋力トレーニングを比較した結果,従来型のレジスタンストレーニングよりパワートレーニングのほうがやや優れているものの,バランス,歩行,筋力,筋パワー,筋体積に関してはトレーニング方法による差は明らかではないと結論付けた報告もあります.

このように,今のところ一定の見解は得られておりませんので,パワートレーニングは筋パワーや機能的アウトカムの向上に関して従来のトレーニングより有効である可能性があるといったところでしょうか.

 

 

 

 

 スロートレーニング 

速いスピードでの動きを意識したパワートレーニングとは反対の筋力トレーニングを,従来よりもゆっくりとしたスピードで実施するスロートレーニングについても多くの研究がなされております.

スロートレーニングは,特に高齢者では骨関節系の疾患を有する確率が20%近くになることや,心血管系の問題を有する削合も多いことから,関節や心血管系に強い負荷のかかる高負荷トレーニングではなく,弱い負荷でトレーニング効果を上げることを目的としております.

われわれ理学療法士が相手にすることの多い障害高齢者に適応しやすいトレーニングと考えることができます.

若年者を対象にスロートレーニングと通常速度での高負荷および,低負荷トレーニングを比較した報告によると,スロートレーニングで,血圧が上昇せずに高負荷トレーニングと同等の筋肥大が得られ,等尺性筋力は増加したと報告されております.

この結果から,動的な筋力を増加させるためには高速でのトレーニング(パワートレーニング)が必要であると考えられますガか,血圧の上昇が心配される場合,骨関節系疾患に対してスロートレーニングが有効であると結論づけております.

また高齢者を対象とした介入研究によると,スロートレーニングと通常速度での低負荷トレーニングの効果を比鮫し通常群でで筋力の増加は得られたものの,筋肥大にはスロートレーニングのほうが有効であったと報告されております.

最近ではスロートレーニングよりさらに遅い速度でトレーニングを行うスーパースロートレーニングも注目されております.

これは骨粗鬆症を有する高齢女性に対する運動として提’唱されたトレーニングですが,10秒間の求心性収縮と4秒間の遠心性収縮を4~6回繰り返す方法です.

 

 

 

 

 

 どっちが優れているの? 

結論から申し上げますとどちらが優れているかということではなく,目的によって使い分けることが重要だと思います.

例えば瞬発的な能力を強化したい場合には,パワートレーニングが有用でしょうし,高齢者や障害者を対象にトレーニングによるリスクを減じた上でトレーニングを行うのであれば,スロートレーニングを適応するということになると思います.

 

 

パワートレーニング・スロートレーニングに関する報告はまだまだ新しい報告が多いので,われわれ理学療法士もパワートレーニング・スロートレーニングの方法や目的を理解した上で,対象者に合ったトレーニングを提供したいものです.

 

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