脊椎圧迫骨折例に対する体幹伸筋群のトレーニング まさか腹臥位で伸展運動していませんか?

投稿者: | 2019年3月12日

 まさか腹臥位で伸展運動していませんか? 

脊椎圧迫骨折例に対する筋力トレーニングとして,理学療法士・作業療法士がまず思い浮かべるのは体幹伸筋群のエクササイズではないでしょうか?

体幹伸展筋群のトレーニングもさまざまな方法が考えられます.

今回は脊椎亜朴骨折例に対する体幹伸筋エクササイズについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 体幹伸筋群のトレーニングの開始時期 

体幹伸筋群の弱化したケースが圧迫骨折を呈すると,坐位・立位時や歩行時に重心の前方偏位を制御できなくなり,椎体圧潰は進行する形となります.

そのため運動療法では,体幹伸筋群を強化し,椎体圧潰の進行を食い留めることが重要となります.

体幹伸筋群のトレーニングの開始時期は,受傷後3週目からとするものや,受傷後1週目からとするもの,受傷直後からとするものなどさまざまです.

脊椎骨折例を対象に体幹伸筋群のトレーニングを行う場合には,破裂骨折や後壁損傷などを認めない限りは受傷後1週以内から開始してもよいといった考え方が一般的だと思います.

体幹伸筋群のエクササイズを行う姿勢は,離床の時期によっても異なります.

 

 

 

 体幹伸筋群のトレーニングの方法 

体幹伸筋群のトレーニングの方法ですが,ベッド上でエクササイズを行う際には,背臥位姿勢のままギャッジアップを30°程度まで起こし,できる限り圧迫骨折部を水平化させておくことが重要となります.

離床後10分程度坐位姿勢を保持できるようになれば坐位でトレーニングを行い,立位姿勢が安定したら立位でトレーニングを行うことが勧められます.

脊椎圧迫骨折では体幹伸筋群のトレーニングによる強化は重要ですが,その方法論が最も重要です.

ここで重要なのは腹臥位での脊椎の伸展運動はしばらくはを避ける必要があります

重力により骨折部が圧着していない環境下で体幹伸筋運動を行うと,噛み込んだ骨梁が離解して骨癒合を遷延させる可能性が有ります

また椎体骨癒合不全を発症した症例の多くが,腹臥位での体幹伸展運動を実施していたといった報告もあり,骨癒合が得られるまでは,腹臥位での体幹伸筋群のトレーニングは禁忌となります.

体幹伸筋群のトレーニングを実施する際には,可能な限り骨折部が水平位となる姿勢をとらせ,その姿勢を保持したまま実施することが原則となります.

具体的な方法を以下に示します.

 

 

 

 

 チューブを使った体幹伸筋群のトレーニング 

体幹伸筋群のひとつとして,チューブエクササイズが簡便で有用です.

この運動は上肢挙上に対するチューブの抵抗を利用して,上肢運動の固定筋として体幹伸筋群を強化する方法です.

一見,三角筋前部線維のトレーニングに見えますが,姿勢を保持するために体幹伸展筋群の活動が必要となります.

①両上肢で把持したチューブを肩関節屈曲90°から開始します

②3秒かけてゆっくりと屈曲し,肩関節屈曲120°で3秒間静止します

③3秒かけてゆっくりとブレーキをかけながら屈曲90°まで伸展しています.

 

肩峰下インピンジメントを有するケースでは,肩関節屈曲角度を100°程度にするなど適宜調節することが勧められます.

この方法であれば骨折部が水平位となり,過度に脊椎を伸展させる必要がありませんので,特に受傷後早期に体幹伸筋群のトレーニングを実施したい場合には有用です.

 

 

 

 歩行練習の際の注意 

脊椎圧迫骨折例が立位や歩行を行うときには,第7頸椎を大転子よりも後方位に補正した姿勢下で実施することが重要です.

ただし歩行練習中に筋疲労が原因で第7頸椎が前方位となり,姿勢の矯正が困難となった場合には,骨折部に強いストレスが加わることになります.

対象者の骨折部位を考慮した上で,頸部重心が圧迫骨折部よりも前方に位置しないような立位・歩行姿勢を作ることが重要です.

第7頸椎が圧迫骨折部よりも前方位になってしまうと,レバーアームが延長し椎体圧潰が進行することとなります.

理学療法士はクライアントの立位・歩行の姿勢を十分に評価した上で,骨折部へのストレスを軽減させることが重要となります.

 

 

 

今回は脊椎圧迫骨折例に対する体幹伸筋エクササイズについて考えてみました.

昔から行われることの多い腹臥位姿勢での体幹伸筋群のトレーニングは噛み込んだ骨梁が離解して骨癒合を遷延させる可能性があります.

特に急性期には今回ご紹介させていただいたように,骨折部のストレスを減じた姿勢でトレーニングを行うことが重要です.

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