理学療法士・作業療法士も他人事で無い車椅子移乗時のフットレストによる外傷

投稿者: | 2019年3月10日

 PT・OTも他人事で無い車椅子移乗時のフットレストによる外傷 

 

2018年10月に日本医療機能評価機構から以上事故再発防止に向けた報告書が出されました.

この2018年の報告書では(1)小児へ投与する薬剤に関連した事例,(2)ガイドワイヤーの破損に関連した事例,(3)車椅子のフットレストによる外傷に関して報告がなされておりますが,

今回はこの中でも理学療法士・作業療法士の関わりが大きいと思われる車椅子のフットレストによる外傷に関して考えてみたいと思います.

 

 

 

 

 車椅子のフットレストの特徴 

理学療法士・作業療法士であれば,車椅子のフットレストを扱う機会は少なくないと思います.

車椅子のフットレストというのは,硬く,突起物や角があるため,皮膚との接触で外傷を負う可能性があります.

しかしながら車椅子のフットレストというのは,下方(足元)にあるため,クライアントはもちろん介助者となる理学療法士・作業療法士にとっても視界に入りにくいのが実際だと思います.

特に高齢者の皮膚は脆弱であり,容易に外傷を負ってしまう危険性をはらんでいます.

また一度外傷を負ってしまうと,治癒しにくいのも特徴です.

そこから褥瘡へと発展してしまうケースさえあるわけです.

 

 

 

 

 理学療法士・作業療法士が介助を行う上での改善策 

車椅子のフットレストによる外傷を予防するためには,まず介助方法を検討・見直しすることが重要です.

特に移乗動作に介助を必要とするクライアントの観察点やアセスメントの方法,リスク予見の必要性についてカンファレンスと情報共有を行うことが重要となります.

ここではいくつか改善策をご紹介いたします.

 

 

 

 

 環境面に対する改善策 

車椅子のフットレストによる外傷を予防する上で最も効果的な予防策は,車椅子のフットレストを取り外して移乗動作を行うことです.

最近はフットレストを取り外すことができるタイプや,はね上げられるタイプの車椅子も増えておりますので,手間はかかりますがフットレストを外してから動作介助を行うのが最もリスクを軽減できる方法であると考えられます.

フットレストを取り外すことが不可能な場合にはフットレストにスポンジ等でカバーを行う方策も有効です.

また移乗を行う際には,まず立ち上がりの姿勢を安定させてからの方向転換をすることが重要です.

膝関節が屈曲した状態で方向転換をしようとすると下腿が前傾位となるため,フットレストで下腿を損傷してしまう危険性が非常に高くなります

また移乗が全介助の場合には,ストレッチャーやリフトを用いる方法も考えられますが,最も簡単に行えるのが介助者を確保した上で,例えば必ず2名以上での移乗介助を行うなどする方策が有効です.

2名以上で移乗介助を行う場合には役割分担を明確にしておくことも重要です.

実際にクライアントに接近して介助を行う者と,少し遠めから全体を観察する者といった形式で役割を分担しておくことが重要です.

さらに車椅子の設置位置も重要です.

当然ですがベッドサイドに車椅子設置スペースを確保し,健側(障害のない側)に車椅子を設置し移乗介助します.

 

 

 

 

 クライアントに関する改善策 

クライアントに関する改善策としては,まずクライアントの状態を把握しておくことが重要です.

特にせん妄や認知機能低下があるクライアントは,危険や痛みなどに気がつかないことを考慮する必要があるでしょう.

さらに皮膚が脆弱なクライアントを把握しておくことも重要です.

特に皮膚が脆弱なクライアントが移乗動作を行う場合には,ズボン・靴下などを着用して下肢を保護するといった対策も必要です.

 

 

 

 

 移乗動作だけでなく車椅子乗車時の後進・方向転換にも注意 

移乗動作以外にも注意が必要な介助動作として車椅子移動が挙げられます.

特に低身長の方で車椅子のフットレストに足を載せた場合に,踵がフットレストから後方へはみだしてしまうクライアントをしばしば見かけます.

この場合,車椅子の前輪キャスターとフットレストの間に踵が挟み込まれてしまい,方向転換や後進の際に皮膚に外傷を負ってしまうことがありますので注意が必要です.

 

今回はこの中でも理学療法士・作業療法士の関わりが大きいと思われる車椅子のフットレストによる外傷に関して考えてみました.

理学療法士・作業療法士が関わる医療事故といえば,転倒を思い浮かべる方が多いかもしれませんが,車椅子のフットレストによる外傷事故というのは比較的多いです.

改めて注意して日々の仕事に取り組みたいものです.

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