脊椎圧迫骨折例の疼痛の特徴

投稿者: | 2019年3月4日

 脊椎圧迫骨折例の疼痛の特徴 

理学療法士が脊椎圧迫骨折例を担当した際に最も難渋するのはクライアントの疼痛の訴えです.

離床許可が出ているにもかかわらず,疼痛が強いために離床をなかなか進められないことも多く経験します.

今回は脊椎圧迫骨折例の疼痛の特徴について考えてみたいと思います.

 

 

 

 脊椎圧迫骨折例の疼痛の特徴 

脊椎圧迫骨折例の疼痛発現部位は腰背部痛が圧倒的に多く,腹痛・腹部への放散痛は全体の26%にみられます.

その多くが胸腰椎移行部に集中しており,殿部から下肢への放散痛は全体の33%であり,中下位腰椎骨折に集中するとされております.

ただし脊椎圧迫骨折例が経過観察中に腹痛や腹部への放散痛,殿部から下肢への放散痛が発現した場合には,圧迫骨折の関連痛とは解釈せず,早急に主治医へ報告することが重要です.

腹部痛は当然ながら内臓疾患や坐骨神経障害などによっても起こりますので,これらの疼痛との鑑別も重要となります.

 

 

 

 疼痛が発生しやすい動作 

理学療法を行う上で疼痛が発生しやすい動作の特徴を知っておくことは非常に重要です.

また脊椎圧迫骨折例の疼痛好発動作は,圧迫骨折の早期発見や骨癒合の進展状態などを推測するうえで重要な知見となります.

脊椎圧迫骨折例の疼痛後発動作は,①起居動作,②長時間の立位・坐位,③体幹前屈動作が挙げられます.

しかしながら①~③については,その他の脊椎・脊髄疾患例や仙腸関節例においても散見されますので注意が必要です.

 

 

 

 脊椎圧迫骨折の疼痛評価に役立つ叩打痛 

棘突起の叩打痛は責任椎体レベルを観察するうえで重要となります.

このテストが陽性の場合は脊椎圧迫骨折の疑いがあり,熟練すれば責任椎体レベルまで推測することが可能となります.

ただしこのテストはあくまで棘突起を介して骨折部に刺激を加えるものです.

そのため骨折部が安定する坐位・立位姿勢や脊椎屈曲位では陰性になることも少なくありません.

 

ここでは叩打痛の評価の方法についてご説明いたします.

 

 

  1. 患者を腹臥位とする
  2. 一方の手は棘突起に対して直角となるように示指中指を合わせる(棘突起の全長は成人では約2横指であるため,ぴったりと鰊突起に合わせることが可能となる).
  3. 他方の手で軽く拳を握り,示指中指を介して棘突起に圧迫刺激を加える.ここで重要な点は,叩打する際に腹部に衝撃が伝達するように押し込むことである.決して叩打した拳が跳ね返されないように注意する.
  4. 順を追って棘突起レベルを変えていき,疼痛が生じた部位と画像所見との整合性を確認する.

 

基本的には叩打痛テストで放散する疼痛部位の多くは腰背部痛です.

しかしTh11・Th12・L1の圧迫骨折のうち約40%は側腹部に放散痛が生じ,L3・L4・L5の圧迫骨折のうち約35%は殿部から下肢にかけて放散痛が生じるとされております.

骨癒合が順調に進展していれば,叩打痛テストは治療開始後4週頃までに軽減してくることが多く,一方で叩打痛テストが陽性の場合には,骨癒合がいまだ不十分である可能性を意味します

骨癒合状況については,基本的にはX線を確認することが重要となりますが叩打法を使用すれば,ある程度骨癒合の状況を推測できるわけです.

 

 

今回は脊椎圧迫骨折例の疼痛の特徴について考えてみました.

脊椎圧迫骨折例に対して理学療法を行う際には,疼痛誘発動作を把握しておくことはもちろんですが,叩打痛を評価することで骨癒合の状況を評価することが可能ですので,疼痛を評価する1手段として知っておくことが重要です.

 

 

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