インパクトファクターって何?

投稿者: | 2019年1月23日

 インパクトファクターって何? 

最近は国際誌へ論文が掲載される理学療法士・作業療法士も増えてきております.

最近はオープンジャーナルなんて雑誌も増えてきておりますので,国際誌もピンキリですが,国際誌といえば気になるのがインパクトファクターです.

今回は理学療法士の視点でインパクトファクターについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 論文の優劣を見極めるためには? 

多くの研究論文を,優れた論文と悪い論文に分けることは,その論文のテーマの専門家であれば,ある程度可能です.

しかし研究分野が少しでも異なるとこの作業は難しかったりします.

まして初心者ともなると,どの論文が優れているのか判断をすることはできないでしょう.

論文の優劣を判断をする際の指標の1つとして,インパクトファクター(Impactfactor :IF)があります.

研究成果を発表するときには,必ず関連する論文は余すことなく引用する必要があります.

これは,著者が論文の中で述べる新しい知見に至る過程で,参考にした論文を読者に明らかにし,自分の立場を明確にし,これまでの研究者の業績に評価と敬意を示すために行われるわけです.

一般的には役に立つ情報が多い論文ほど,被引用回数(他の論文に引用された回数)が多くなるため,その論文が当該分野に与えた影響度が大きいとされます.

 

 

 

 インパクトファクターとは? 

インパクトファクターは,個々の論文ではなく,ある学術雑誌に過去2年間に掲載された論文の被引用回数の平均値を計算したものです.

その値が大きい方が,より引用されやすく注目度の高い論文を多く掲載している学術雑誌といえます.

一方でインパクトファクターは学術雑誌の評価として問題があるといった批判もあります.

 

 

 

 インパクトファクターの問題 

まず,①学問領域によってインパクトファクターが異なる点が挙げられます.

学問領域の活発さやレベルの高さだけではなく,論文の引用頻度や慣習が異なっていることによります.

したがって,異なる領域の学術雑誌のインパクトファクターを比べることは意味がないと考えられます.

 

また②原著論文より総説の方がインパクトファクターが高くなるといった点も大きな問題となります.

学術雑誌の中には,総説だけを掲載するものもあります.

総説は一般的に引用されやすいため,主に総説の掲載数が多い学術雑誌はそれだけでインパクトファクターが高くなる傾向があります.

 

さらに③倫理的な問題を含むこととして, Self citeがあります.

学術雑誌の編集者が自誌のインパクトファクターを上げたいと思えば,投稿者に対して,自誌の論文をできるだけ引用するように強制することで,数字上のインパクトファクターを上げることが可能なわけです.

 

加えて④分子と分母の問題もあります.

学術雑誌には,原著論文や総説の他にも,編集者への手紙や短い抄録論文など,いくつかの種類の論文が掲載されております.

これらを掲載論文としてカウントするか,それに対する引用をどのように扱うのか,論文の種類をどのように判定するかは大きな問題です.

インパクトフアクターの差が25%以内の学術雑誌は同一ランクに属していると考えてよいといわれており,あまり小さなインパクトファクターの差まで気にするのは,過剰反応といってよいと思います.

いずれにしても,インパクトファクターだけに頼ることなく,多角的にみて,優れた論文かどうかを判断できる力を養う必要があります.

 

 

 

 インパクトファクターの算出方法 

学術雑誌のインパクトファクターは,次のように計算されます.

例えば2019年のインパクトファクターは「2017年と2018年にある学術雑誌に掲載された論文が2019年に引用された回数)/(2017年と2018年にある学術雑誌に掲載された総論文数) 」で計算がなされます.

インパクトファクターの高い学術雑誌で発表された論文は,引用される可能性が高いことを意味します.

 

 

 

 インパクトファクターの閲覧方法 

各学術雑誌のインパクトファクターを見るためには,トムソンサイエンティフィック社が提供しているWeb of ScienceのなかのJournal Citation Report 5(JCR)を閲覧する必要があります.

ただしJCRは有料であるため,契約していない場合,一覧を見ることができません.

各学術雑誌のウェブサイトには,通常,最新(年1回更新)のインパクトファクターが掲載されておりますので,その値を参考にすることが多いです.

 

 

 

 

 オープンアクセスジャーナル 

最後にオープンアクセスジャーナルについても触れておきたいと思います.

世界の主要国で,国家予算を使った研究の成果は国民が無料でアクセスできるようにしなければならないとするオープンアクセス化の流れが始まっております.

従来の学術雑誌では掲載論文の著者がある程度の掲載料を支払うとともに読み手も購読料を支払います.

オープンアクセスジャーナルの場合,読み手は無料ですが,著者が高額な掲載料を支払うこととなります.

オープンアクセスジャーナルでは,論文の内容が正しいとみなされればトップレベルの内容ではなくても掲載されるという編集方針を基本としていることもあり,この場合,研究内容の質が担保されないなど,さまざまな問題もはらんでいます.

 

 

 

今回は理学療法士・作業療法士が国際誌を読む際に気になるインパクトファクターについて考えてみました.

インパクトファクターの数字だけが独り歩きしないように,様々な限界がある値であることを認識した上で,インパクトファクターの値を参照すること,そして論文そのものの優劣を判断できる目を養うことが重要だと思います.

 

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