若年者のロコモティブシンドローム・サルコペニアの実態

投稿者: | 2018年12月9日

平成30年10月20-21日に福岡県で第5回日本予防理学療法士学会が開催されました.

今回もこの第5回日本予防理学療法士学会の一般演題の中から若年者のロコモティブシンドローム・サルコペニアに関する興味深い報告をご紹介させていただきます.

日本整形外科学会は,運動器の障害により移動機能に低下をきたした状態をロコモティブシンドロームと定義しております.

ロコモが進行すると介護が必要になるリスクが高くなることが指摘されている.

また近年では加齢に伴って生じる筋量・筋力の減少としてサルコペニアの概念が提唱されております.

ロコモやサルコペニアに関しては以前の記事でもご紹介させていただきました.

フレイル・ロコモティブシンドローム・サルコペニア~ちゃんと違いがわかりますか?~

またサルコペニアについては以前にご紹介いたしましたように,その定義が大きく変化しました.

これは必見!サルコペニアの新基準

ロコモティブシンドロームやサルコペニアというのは,いずれも高齢者を対象とした概念でありますが,若年者の段階からその実態を把握し,早期から予防的介入を行う上でも重要と考えられます.

この研究では若年者のロコモティブシンドロームはとサルコペニアの実態を調査し,それらに関わる要因を検討しております.

対象ですが10~40代の健常若年者773例と非常に大きなサンプルサイズとなっております.

対象者全例にロコモ度テストを行い,得られた結果からロコモ度を判定しております.

また体組成成分装置(InBody770)を用いて四肢骨格筋量指標(SMI),Body Mass Index(BMI),部位別の筋肉量を測定しております.

サルコペニアの診断にはAsian Working Group の指標が用いられております.

年代毎の男女数とロコモティブシンドロームは・サルコペニアの該当者数を集計し,ロコモティブシンドロームは・サルコペニアと性差との関連性について検討しております.

またロコモティブシンドロームは・サルコペニアそれぞれの該当者と非該当者間におけるBMIや骨格筋量,部位別の筋力量の比較もなされております.

結果ですが,ロコモティブシンドロームの該当者は99 名,サルコペニアの該当者は100 名であったとされております.

ロコモティブシンドロームと年齢の間には有意な関連は認めなかったものの,年齢が高くなるにつれてロコモティブシンドロームの該当者が増加しております.

サルコペニアに関しても年齢との有意な関連は認めておりませんが,各年代にサルコペニアの該当者が認められております.

ロコモティブシンドロームに該当する男性では,すべての年代でBMI が高い傾向にあり,女性においても10~30代でBMI が高い傾向を認めております.

サルコペニアに該当する男性の10~20代,サルコペニアに該当する女性ではすべての年代において,BMI,骨格筋量,部位別の筋肉量が有意に低値を示しております.

驚くべきことにこの研究の結果から,10~40代といった若年者でも,ロコモティブシンドロームやサルコペニアに該当する者がおり,割合的にもロコモティブシンドロームやサルコペニアに該当する者が全体の15%程度と,ロコモティブシンドロームやサルコペニアに該当する若年者が少なくないことが分かります.

また注目すべきは,ロコモティブシンドローム該当者では男女ともにBMI が高いといった点です.

肥満に伴うロコモティブシンドロームへの影響はこれまでにも報告されておりますが,BMI 値が25kg/m2以上をロコモティブシンドローム肥満とする報告もあり,肥満傾向の若年者における運動器の機能低下や移動能力低下にも注意が必要であると考えられます.

また男女ともにサルコペニア群ではBMI,骨格筋量,部位別の筋肉量が低値を示しているといった点も本研究から得られる重要な点です.

 

サルコペニアというのは,加齢に伴って生じる原発性の筋量減少に加え,活動量や栄養に関連して生じる二次性の筋量の減少から起こることが指摘されております.

 

 

この対象者は若年層でありサルコペニアに該当する者は筋量だけでなくBMI も低値を示していたことから,活動量や栄養に関連した二次性のサルコペニアが生じている可能性が考えられます.

 

 

 

ロコモティブシンドロームやサルコペニアというと若年者には無縁の概念であると考えがちですが,この結果からは,ロコモティブシンドロームやサルコペニアは若年者においても1割以上存在するということです.

こういった若い段階でロコモティブシンドロームやサルコペニアを合併していれば,高齢になってさらにロコモティブシンドロームやサルコペニアが進行することは容易に想像できます.

こう考えますと早期からロコモティブシンドロームやサルコペニアの有無を把握し,何かしらの介入を行うシステム作りが今後求められると思います.

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