歩行立脚終期における骨盤後方回旋に対する理学療法アプローチ 

投稿者: | 2018年11月28日

 歩行立脚終期における骨盤後方回旋に対する理学療法アプローチ 

大腿骨近位部骨折例・変形性股関節症例・人工股関節全置換術例に代表されるような股関節疾患を有するクライアントに多い異常歩行の1つとして,患側下肢の立脚終期における骨盤の後方回旋が挙げられます.

過度な骨盤後方回旋は外観的な問題にとどまらず,腰椎にも強い回旋ストレスが生じることになりますので,理学療法によって骨盤後方回旋の原因を明らかにした上で,アプローチを行うことが重要となります.

今回は歩行立脚終期における骨盤後方回旋の原因を考えた上で,立脚終期における骨盤後方回旋に対する理学療法アプローチについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 歩行立脚終期における骨盤後方回旋の原因 

臨床場面でで見られる歩行時の骨盤後方回旋は,歩行立脚中期から立脚終期における片脚支持期の歩行相でしばしば観察されます.

そのほとんどは運動の支点が股関節から腰椎へと移っており,関節面のの構造上、回旋要素が少ない腰椎にとって椎間関節へのメカニカルストレスを増加させ.,腰痛を引き起こす原因となります.

 

この腰椎への負荷増大の原因として,主に考えられることは股関節伸展可動域制限・内旋可動域制限です.

大腿骨近位部骨折例や人工股関節術後のクライアントは,術後早期からの全荷重が可能な症例においても,術後の侵襲による疼痛,術創周囲の皮膚の動きの制限,関節内圧の上昇などの影響によって,股関節伸展可動域・股関節内旋可動域制限を伴うことが少なくありません.

また末期の症状を呈する変形性股関節症例においても股関節伸展可動域・股関節内旋可動域は制限されることが多く,関節可動域制限の進行に伴い歩行時の骨盤後方回旋が増大する傾向があります.

 

骨盤後方回旋が生じる2つ目の原因としては,体幹深層筋群の機能不全の影響が考えられます.

股関節の関節可動域制限が軽度であっても,なんらかの原因で体幹深層筋群の機能不全を合併している場合には,運動の支点が股関節から脊柱・腰椎へと移りやすいのです.

 

 

 

 歩行立脚終期における骨盤後方回旋の評価 

歩行の観察では前額面-矢状面からの観察を行い,立脚中期から立脚終期にかけて出現する水平面上の骨盤の回旋の程度を確認することが重要です.

骨盤後方回旋については,前額面からみた場合,鼠径部の皺が対側と比較しやすく,後方からみた場合は殿部の雛が深くなりやすいといった特徴があります.

したがって前額面から観察する場合には鼠径部および臀部の皺を確認するとよいです.さらに背部.殿部上方の洋服に生じる皺も特徴的です.

 

立位姿勢の観察では対象者の後方に膝立ちとなりセラピストの両手の第1指と第3指で両側の上前腸骨棘・上後腸骨棘を触診し,上前腸骨棘が対側と比較し上方,上後腸骨棘が下方にある側をアウトフレアと評価します.

多くの場合には,骨盤が後方回旋している側の寛骨がアウトフレアを呈しています.

 

 

またストレッチポールを脊柱の下に入れて背臥位をとり,対象側下肢挙上,股関節外旋などの課題を行うと骨盤後方回旋がみられる場合,また対側下肢の股関節外旋運動などでバランスをとる場合については,体幹深層筋群の機能不全との関連も強いと考えることができます.

さらに股関節の可動域を評価する場合には,股関節伸展可動域・股関節内旋可動域を単一方向で評価することに加え,股関節伸展位での内旋可動域を確認する方法が有効です.

 

 

 歩行時の骨盤後方回旋の治療 

歩行立脚終期における骨盤後方回旋の改善を図るためには,まずは股関節伸展位での内旋可動域を確保することが重要となります.

また臥位やOKCで伸展位における内旋可動域が確保できれば,CKCで股関節伸展位で内旋運動を促通する方法も有用です.

さらに体幹深層筋群の機能不全が疑われる場合には,ストレッチポールを脊柱の下に入れて背臥位をとり,対象側下肢挙上,股関節外旋などの課題を行いながら,体幹深層筋群の収縮を図る方法が有用です

 

 

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です