理学療法士の臨床実習生必見 歩行介助のポイント

投稿者: | 2018年11月27日

 歩行介助のポイント 

理学療法士がクライアントの歩行介助をする場合には,転倒のリスクに留意しながら,クライアントの能力向上を図る必要があります.

また看護師や介護福祉士といった病棟スタッフに歩行介助の方法を指導する機会も少なくありません.

歩行介助と一言で言っても中等度以上の介助を要するケースもあれば,ちょっとした介助で歩行が可能なクライアントもいるわけで,クライアントの状況に応じて動作支援を行っていく必要があります.

今回は軽介助と近位監視で歩行可能なクライアントの歩行介助のポイントについて考えてみたいと思います.

 

 

 

 軽介助レベルのクライアントの介助のポイント 

軽介助レベルのクライアントにおける歩行介助の場合には,転倒回避のために患側から腋窩部で介助をするのが一般的です.

平地で歩行しているときには,バランスが側方に崩れる場合と,膝折れのように上下に崩れる場合があります.

側方に崩れる場合には,腋窩からの介助で比較的簡単に転倒を回避することが可能です.

一方で膝折れがあり下方に崩れる対象者対しては,介助者が対象者の体重を支える必要があります.

側方への動揺に関しては,患側のみならず健側方向への動揺にも注意が必要です.

通常は,介助者はクライアントの患側に立っていることが多いので,健側方向への動揺に対応できないため,そのまま転倒してしまうことがありますので注意が必要です.腋窩を支えていれば,健側方向への動揺に対しても対応できる場合が多いです.

膝折れの早期(股関節・膝関節の屈曲角度が小さい状態)では,まだ対象者自身の力で体重を支持できていることも多く,少ない介助品で対応できますが,膝折れが進むと介助者がクライアントの全体重を支えることになります.

側方への介助と異なり,下方へ崩れる対象者の介助には力も必要となるため,介助者は自身の体をしっかりとクライアントに近づけて対応する必要があります.

事前に膝折れの出現が予測される場合には,両腋窩からクライアントを支える方法も有効です.

またクライアントのベルトやズボンをつかむ方法もありますが,クライアントが違和感を覚えることもあるので注意が必要です.ただしとっさの場合などには,違和感よりも転倒回避が優先されます.

 

 

 介助が介助を終わらせないのが理学療法士 

理学療法士の行う介助と看護師・介護福祉士の行う介助の違いはなんでしょうか?

われわれ理学療法士にとって,クライアントの歩行時の重心移動を考慮した上で,介助をしながら円滑な重心移動を誘導することが重要となります.場合によっては,上述した膝折れを介助(誘導)によって出現させないこともできるわけです.

身体重心が膝関節中心よりも後方に位置し,床反力が膝関節中心よりも後方を通り,膝関節に対して屈曲方向の力が加わると,膝折れが起こりやすくなってしまいます.

したがって膝折れを防止するためには,身体重心を膝関節中心よりも前方へ移動するように誘導する必要があります.

話は変わりますが杖を前方につくことによって身体重心を前方へ移動させる方法も膝折れを防止するための方法としては有効です.

 

 

 見守りレベルのクライアントの介助のポイント 

腋窩で軽く介助している場合と,側方でクライアントに触れることなく見守っている場合では大きく何が異なるのでしょうか?

介助者がクライアントの腋窩を軽く支える程度であれば,力学的な大きな変化は無いわけですが,実はこの少し触る,つまりライトタッチに非常に大きな意味があることが最近の研究では多く報告されております.

簡単に言えば介助者がクライアントに触れることで,クライアントは触れられた部位からの感覚入力を得ることができ,バランスをとりやすくなるわけです.

したがって少しでもクライアントに触れていれば,それはクライアントの姿勢保持を支援していることになります.

 

完全な見守りと少しだけクライアントに触れている状態は全く異なるわけです.

見守り歩行中によくあるのが,クライアントが健側方向へ大きく動揺して転倒してしまうといったパターンです.

基本的に介助者は患側に立つのが普通ですので,患側方向へ動揺した場合には対応が可能なわけですが,健側方向へ動揺した場合には十分に対応できず,転倒に至ってしまうというわけです.

このような健側方向への動揺に伴う転倒を予防するためには,介助者はクライアントの後方から健側の腰に手を回すようにしておくと健側方向への動揺にも対応できます.

見守りの場合にはもちろんクライアントに触れることはありませんが,手を回すようにして健側方向への動揺に対応できるように準備をしておくとよいです.

 

 

 

今回は軽介助と近位監視で歩行可能なクライアントの歩行介助のポイントについて考えてみました.

中等度以上の介助を要するクライアントに関しては解除の方法にもかなりバリエーションがありますので,今回はご紹介できませんが,臨床実習でまず学生が経験することが多いのが,軽介助~見守りレベルのクライアントではないでしょうか?

実習中に危険管理を怠り,クライアントが転倒しようものならそれだけで実習が中止になってしまう場合もありますので,危険管理を第1に適切な介助でクライアントの動作支援をできるとよいですね.

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