理学療法・作業療法における意識レベルの評価のポイント

投稿者: | 2018年11月19日

理学療法・作業療法の現場ではICUの超急性期のみならず,亜急性期や慢性期においても,さまざまな意識障害を起こしているクライアントに遭遇する機会は少なくありません.

また理学療法・作業療法実施中に意識障害に直面する可能性もあります.

今回は理学療法・作業療法における意識レベルの評価方法についてご紹介いたします.

 

 意識レベルの評価方法 

一般的に意識レベルや覚醒度の分類に用いられる用語には,清明・傾眠・昏迷・半昏睡・昏睡・深昏睡などがあります.

しかしながらこれらの各制度分類に関する用語の定義は曖昧であり,経時的な変化や医療従事者の認識に関して共通する客観的な指標を用いることが必要となります.

現在,本邦で最も多く用いられている客観的な意識レベルの評価としては,Japan Coma ScaleGlasgow Coma Scaleがあります.実はこのJapan Coma ScaleとGlasgow Coma Scaleなどちらも1974年に発表されており,Japan Coma Scaleは脳動脈瘤破裂の急性期における意識レベルの判定を,Glasgow Coma Scaleは急性期頭部外傷例の意識障害の判定を目的に考按がなされたものであります.

 

 Japan Coma Scale(JCS)とGlasgow Coma Scale(GCS)とは? 

JCSは覚醒の障害レベルを3段階に分類し,それぞれをさらに3段階に分け,清明の0を含めた10段階で評価する指標であります.

一方でGCSは開眼(E:eye opening)を4段階,言語による反応(V:verbal response)を5段階,最良運動反応(M:best motor response)を6段階でそれぞれ評価し,3つの要素の総和で総合的に意識レベルを評価する指標となっております.

 JCS 

1.刺激しないでも覚醒している状態
(1)だいたい意識清明だが、今一つはっきりしない
(2)見当識障害がある
(3)自分の名前、生年月日が言えない

2.刺激すると覚醒する状態(刺激をやめると眠り込む)
(1)普通の呼びかけで容易に開眼する。開眼しない場合は、合目的な運動をする、言葉も出るが間違えが多い
(2)大きな声または命令に応じる。開眼しない場合は、簡単な命令に応じることができる状態
(3)痛み刺激を加えつつ、よびかけを繰り返すとかろうじて開眼する状態

3.刺激しても覚醒しない状態
(1)痛み刺激に対して、払いのけるような動作をする
(2)痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする
(3)痛み刺激に反応しない状態

 

 GCS 

開眼機能(E:eye opening)
自発的に(4点)
よびかけにより(3点)
疼痛刺激により(2点)
開眼しない(1点)

言語機能(V:verbal response)
正確な応答(5点)
混乱した会話(4点)
不適当な言語(3点)
理解不明の声(2点)
発語しない(1点)
気管内挿管・切開(1点)

運動機能(M:best motor response)
命令に従う(6点)
疼痛刺激を払いのける(5点)
疼痛刺激に対する四肢屈曲・逃避反応(4点)
疼痛刺激に対する四肢異常屈曲・除皮質硬直(3点)
疼痛刺激に対する四肢伸展・除脳硬直(2点)
全く動かない(1点)

 

 

 

 Japan Coma Scale(JCS)とGlasgow Coma Scale(GCS)の違い 

JCSの利点

  • 清明の危険度を桁数で直接示すため,重症度や緊急度を表しトリアージに有用
  • 医療従事者のみならず誰でも使用可能
  • 1段階がそれぞれ1つの点数を示す

JCSの欠点

  • 覚醒を開眼で代用しているため,開眼できない場合に評価が曖昧になる
  • 重症の意識障害レベルの区分が少ない

GCSの利点

  • 覚醒の判断が不要

JCSの欠点

  • 最低の3点から15点までの13段階の間に組み合わせが多数あるため,総点数と状態に幅がある
  • 挿管したクライアントは加算できない
  • 正常引っ込め動作と病的屈曲との鑑別が難しい

 

 

 JCSとGCSで誤判定をしやすい項目 

JCSとGCSを使って意識レベルを評価する際に,誤って判定する原因としては以下のような原因が挙げられております.

  • 見当識障害の有無の判断が難しい
  • 音声に対する開眼反応の判定が難しい
  • GCSの運動反応のうち逃避(M4)と疼痛部位認識(M5)の区別が難しい

またGCSで意識声明に相当する症例であっても,JCSでは1の軽度意識障害に相当することがあるため,嗅球の現場ではJCSが適していると考えられております.

一方でGCSは厚生労働省の中央社会保険医療協議会の分科会においてICUのアウトカム視標の候補として挙げられているAPACHⅡの中でも意識レベルの項目で使用されるなど,幅広い領域で使用されているといった特徴があります.

 

 

 理学療法士が使いやすいのはJCS?GCS? 

まだまだ医療機関における共通言語としてはJCSが主流です.

JCSは数字で簡単にクライアントの意識レベルを表現することができますので,医師や看護師との間で意識レベルを共有する上でも非常に有用です.

一方でGCSは同じ10点であっても,言語機能は良好であっても開眼しない症例がいたり,開眼は得られるにもかかわらず運動反応が不良である症例がいたりと,症例の意識レベルをイメージしにくいといった特徴があります.

ただ開眼・言語反応・運動反応といった3つの側面から意識レベルを評価できますので,意識レベルを多角的に評価できる指標でもあります.

JCS・GCSの特徴を十分に理解した上で,JCSとGCSを使い分ける必要があると思います.

 

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