東京五輪理学療法サポートはボランティア

投稿者: | 2018年10月13日

2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて,ニュースでも様々な情報が飛び交っておりますが,2018年10月10日付で,日本理学療法士協会からも,東京オリンピック・パラリンピックにおける理学療法サービススタッフの募集に関する情報が掲載されました.

今回はこの東京オリンピック・パラリンピックにおける理学療法サービススタッフの募集について考えてみたいと思います.

 

 

 日本理学療法士協会によるボランティア募集の概要 

「本会は東京2020オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(以下,組織委員会)から正式な依頼を受け,選手村内診療所などで活動する理学療法サービススタッフの人材募集を支援することとなりました.

この活動に参加を希望する方を公募致しますので,ご登録とお申込みをしてください.本会内で申請書類等を精査して理学療法サービススタッフ候補者を組織委員会に推薦致します.

詳細はマイページにてご案内します.」といったものです.登録期間は2018年10月10日~11月30日,申請書受付期間は2018年10月22日~12月14日となっております.

 

 

また登録条件として以下の条件が示されております.

①日本理学療法士協会の会員であること

②応募時に理学療法士資格取得後 5 年以上経過していること

③応募時に3年以上のスポーツ分野の実務経験,あるいはパラリンピックに関わる分野 (例:切断・脊髄損傷・視覚障害・神経学的障害等)の実務経験を有すること

④日本理学療法士協会新人プログラムを修了していること

⑤外国語に関する一定の語学力を有していること

⑥業務に関係する知識・技能を有していること

1.救急処置に関係する資格・認定

2.アンチドーピングに関する知識(関係する講習会の受講等)

3.業務に関係する理学療法士以外の資格・認定

4.スポーツ理学療法研修会(総論・基礎・応用)の受講(修了見込み)

⑦次の期間中7日間以上の活動が可能であること(オリンピック大会日程 : 2020 7 24 日~8 9 日,パラリンピック大会日:2020825~96日,いずれも大会日程前 2 週間,後 1 週間程度も活動期間となる予定,勤務時間は 1 シフト 9 時間を予定)

⑧宿泊や移動については自身で確保・準備ができること。

 

この中でも③・⑤・⑦というのは非常にハードルが高いと感じます.

 

⑤に関しては基準を満たす理学療法士が日本にどのくらいいるのかと考えてみてもかなり少ない気がします.

われわれ理学療法士が主におもてなしをする選手は救急と発展途上国だと考えられますが,英語でのコミュニケーションは最低限,中には英語でのコミュニケーションが難しい方もいらっしゃるでしょう.

日本語圏で勤務する理学療法士が果たしてどこまで対応できるでしょうか(対価を支払ってでも語学力の高い理学療法士を派遣すべきではないでしょうか).

 

最も高いハードルは⑦でしょうか,7日間以上×9時間って,よくよく考えてみると月の1/3は本業を休業する必要があります.これで報酬がゼロというのは普通に考えて死活問題だと思います.

ハードルが非常に高いうえに,無償でとなるといったい誰が応募するのだろうとさえ思えてきます.

東京オリンピックに参加するために,職場を変えたという理学療法士がいる中でこの扱いはひどすぎます.

実はオリンピック開催に向けて都道府県士会でも数年前からさまざまな研修会を開催し,理学療法士を育成してきたわけですが,何のための研修だったのでしょうか?

協会としては応募基準を詳細に定めたことで一定の質を担保しようとしたのかもしれませんが,そもそもボランティアの時点でサポートの質は担保されないと言っているようなものです.

その上,移動費・宿泊費も出ないとなると首都圏周辺で勤務する理学療法士以外は参加のハードルはさらに上がってしまいます.

また今回の結果は,いかに理学療法士の価値や強みが世に認知されてないかがよく分かる内容だと思いますし,日本理学療法士協会は会員を何だと思っているのかと呆れずにはいられません.

「やりがい」とか「おじいちゃんはオリンピックを手伝ったんだよといった将来的な無意味な栄光」だけでどのくらいの理学療法士が参加するのかが,逆に楽しみですね…

 

 

 東京オリンピックボランティア問題 

理学療法士の派遣に限らず,東京オリンピックにおけるボランティア派遣に関しては,ネット上でもさまざまな意見が飛び交っております.

なんせスポーツドクターでさえ無償参加なわけですから…

東京オリンピックにおけるボランティアを派遣するのはパソナという人材派遣会社のようです.

当然ながらパソナには報酬が支払われるわけですが,この金額は明らかにされておりません.

東京オリンピックにかかる経費は3兆円を超えると推定されておりますが,このお金がどのように使われるのかだっておそらくはっきりしないままなのでしょう.

理学療法士を含め11万人ものボランティアを募集しているわけですが,国民を無償で使っておいて,一部の人間だけが膨大な利益を得るのではないかといったことさえ,ネット上では囁かれております.

まだ混沌としておりますが,ネット上でもこのオリンピック理学療法士ボランティア問題はかなりの論争になっておりますので,今後何かしらの動きがあることを期待しましょう.

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