指導者1人に学生2人の2:1実習ってあり得ない?

投稿者: | 2018年9月21日

理学療法士・作業療法士の実習では1名もしくは複数の指導者が1名の実習生を指導するといった形式が多いと思います.よくあるのは今後は死語になるかもしれませんがスーパーバイザー1名にケースバイザー2名といったような形式で実習指導が行われます.指導者が複数いると指導者間の連携が取れていないと,指導者が全く異なることを指導したりということも少なくないようで,混乱する実習生が出てくるといったこともあります.今回は指導者1名に対して,2名の実習生といった実習形式を実際に数年経験してみての印象をご紹介したいと思います.あくまで個人的な印象になりますので悪しからず…

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1:2の実習に至った経緯

基本的に私の勤務する施設では実習生が重複することの内容に養成校とのスケジュールを組みます.ですので1名の指導者に対して2名の実習生というのはあり得ないのですが,3年前に学校側から学生の家庭の事情で予定スケジュールを変更してほしいとの連絡があり,数週間ではありましたが同時に実習生を2人担当するといった機会がありました.はじめは代わりの理学療法士に指導をお願いしようと考えていたのですが,ちょうど臨床実習指導者会議の際にある講師の先生の講演の中で,1:2の実習についての話がありました.これはチャンスと思って,その年は1:2で実習を行うこととなりました.

2:1の実習のメリット

この時は3年生の評価実習と4年生の総合実習が重なることになったのですが,既に4年生は8週間の実習のうち5週間が経過しており,3年生は今から3週間の実習を送るといった状態でした.2名を同時に指導するとなると,同僚からも「大丈夫ですか?」などと心配されたのですが,意外に2名を指導するのは苦になりませんでした.というのも既に4年生が5週間の実習を送っていたので,施設の中の細かいルールを3年生に指導してくれ,むしろ楽にすら感じられました.また休憩時間や私がカンファレンスでスケジュールが空いた時間には4年生によって3年生に理学療法に関連する指導がなされ,これが非常に効果的であったのです.4年生にとっては3年生に説明をすることで,自身の知識が整理できるといったメリットがあったわけですし,3年生にとっても指導者には聞きにくいような内容を4年生に聞きやすいといったメリットがあったわけです.昼休憩にもこの2人はクライアントの事であったり,運動療法のことをディスカッションしたり,ペアになって実技の練習をしたりと非常に有意義な学習を行えたわけです.

やはり自分の理解を深める上でもアウトプットするというのは非常に重要だと思います.臨床実習って学生にとっては指導者の話を延々と聞いて,場合によっては1時間以上もフィードバックという名のまとまりのない話を聴かされてと,インプットばかりなわけです.特に従来型の実習では,学生のアウトプットの手段がレポートだったわけですが,これがうまくまとまっていないと理解できていないと判断をくだされるわけです.実習中に自分の考えをアウトプットできる機会ができるというのは4年生にとっては最高の環境なわけです.本来であればわれわれが実習生の話に耳を傾けてあげられれば良いわけですが,そんな時間は…というのがほとんどではないでしょうか.

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2:1の実習のデメリット

デメリットというほどのものは私の場合はほとんど感じたことはありませんが,実習成績書を同時期に2つ仕上げなくてはならないというのが唯一のデメリットでしょうか.場合によってはクライアントがあまり多くの実習生に見学されるのはといったことも危惧されますが,今のところはこういったお声はいただいておりません.

2:1の実習のコツ

私なりに1:2の実習を数年終えてみて,コツというわけではありませんが,感じることを書いてみたいと思います.もちろん学生同士の相性というのも重要でしょうが,それ以上に重要なのは,明らかな上下関係があるといった点が重要だと思います.教える側と教えられる側といった上下関係がはっきりしているとうまくいく気がします.今のところ同学年を同時に担当したことが無いので何とも言えませんが,学習状況が近い水準になると一方が教えて一方が教えられるといった構図が成り立ちにくいので,私が考えるメリットが生じにくいと考えております.しかしながらこういった2:1モデルは既に海外では2000年代前半に報告がなされており,その有効性が確認されているのです.1:1の実習に比較してもパワハラとかセクハラみたいなハラスメント軽減にもつながるモデルではないかと考えます.2:1というとその分,指導時間が長くなるのではないかと感じるかもしれませんが,そんなことはありません.いわゆるフィードバックも同時に行いますので,学生とすれば自分が気になった点以外の話も聞けて勉強になるといったふうにも考えられますし,実は同じようなことがわかっていなかったりしますので,指導時間が増えるということは私の場合は今のところありません.

今回は2:1モデルの実習についてご紹介いたしました.私もまだ数年しか取り組んでおりませんし,実践報告が少ないのでまだまだ見えていない部分も多いと思いますが,1つの実習の形式として参考にしていただければ幸いです.

参考文献
1) Nemshick TM, Shepard FK: Physical therapy clinical education in a 2:1 student-instructor educational model. Phys Ther, 1996,76(9): 968-981.
2) Currens BJ, Bithell PC: The 2:1clinical placement model. Perception of clinical educators and students. Physiotherapy, 2003, 89(4): 204-218.

 

 

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