膝関節屈曲拘縮は変形性膝関節症の結果?原因?

変形性膝関節症
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膝関節屈曲拘縮(膝関節伸展可動域制限)は変形性膝関節症例の多くに見られる機能障害の一つです.膝関節屈曲拘縮は変形性膝関節症の結果起こるものですが,実は変形性膝関節症の進行の原因でもあったりします.今回は変形性膝関節症例における膝関節屈曲拘縮について考えてみたいと思います.

目次

膝関節屈曲拘縮と膝関節の安定性

健常成人女性に膝関節伸展角度を調整可能な装具を着用させ人工的に屈曲拘縮状態を再現した歩行であっても,膝関節伸展制限の増加に伴い膝関節内反角,内反モーメントが増大することが明らかにされております.すなわち膝関節の力学的安定性の低下によって,屈曲拘縮が生じ,屈曲拘縮により膝関節の安定化機構の機能低下が起こり,さらに関節変形が進行するという負の連鎖が存在するわけです.そのため変形性膝関節症に対する保存療法を考える上では,膝関節へ加わる力学的負荷を減少させること,屈曲拘縮を改善させることが重要となります.

膝関節屈曲拘縮と膝関節伸展モーメント

 

膝関節の屈曲拘縮が無い場合には,大腿骨と脛骨における接触面が広くなりますので,単純に考えて関節面の単一面積あたりにかかる荷重負荷が小さくなります.

一方で膝関節屈曲拘縮を有する場合には,大腿骨と脛骨の接触面積が狭くなってしまいますので,局所的な関節負荷が大きくなってしまいます.加えて抗重力位で膝関節屈曲位となっていると常に大腿四頭筋が収縮した状態となります(軽いスクワットをしている状態です).そのため大腿四頭筋の収縮によってさらに関節内圧が上昇してしまいます.

ここでは脛骨大腿関節にかかる関節負荷について考えてみましたが,実は膝関節が屈曲した状態ですと膝蓋大腿関節の圧縮力というのも増加してしまいます.そのため脛骨大腿関節のみならず膝蓋大腿関節の変形性関節症も進行してしまうことになります.

極める変形性膝関節症の理学療法 保存的および術後理学療法の評価とそのアプローチ (臨床思考を踏まえる理学療法プラクティス) [ 斉藤秀之 ]

今回は変形性膝関節症例における膝関節屈曲拘縮について考えてみました.膝関節屈曲拘縮は変形性膝関節症の結果起こるものであると考えがちですが,実は変形性膝関節症の進行の原因になります.したがって屈曲拘縮を予防・改善する方略が必要となります.次回は変形性膝関節症例における膝関節屈曲拘縮の原因について考えてみたいと思います.

 

参考文献
1)Chehab EF,Baseline knee adduction and flexion moments during walking are both associated with 5 year cartilage changes in patients with medial knee osteoarthritis,Osteoarthritis Cartilage,2014
2)山善文, 他: 膝関節伸展制限が歩行時の下肢関節に及ぼす生体力学的影響. 臨床バイオメカニクス33: 427-432, 2012

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