個別に筋力評価を行う方法~MMTの大腿筋膜張筋の筋力測定は誤っている~

投稿者: | 2018年8月26日

MMTによる筋力測定では股関節外転筋群の中でも,中殿筋と大腿筋膜張筋といったように筋を分けて,評価を行う方法もいくつかありますが,股関節内転筋群のように個別の筋を分類した評価の方法が示されていない筋群も少なくありません.

同一作用を持つ筋であっても肢位や運動方向によって活動する筋が変化しますので,どういった肢位でどの筋が活動しやすいかを知っておけば,評価のみならずトレーニングにも生かすことができます.

今回は個別に筋力評価を行う上での肢位や運動方向について,下肢の筋群を中心にご紹介したいと思います.

 

 股関節内転筋群

(長内転筋・恥骨筋・大内転筋前部線維・短内転筋vs大内転筋後部線維)

長内転筋・恥骨筋・大内転筋前部線維・短内転筋の作用は,解剖学的肢位では股関節屈曲・内転ですので,股関節屈曲伸展中間位から屈曲・内転方向に力を発揮させた時の筋力を測定すると,これらの筋群の筋力を測定することができます.

一方で大内転筋後部線維は非常に大きな筋であり,股関節内転だけでなく股関節屈曲位からの伸展作用を有しますので,股関節45°屈曲位から伸展・内転方向に力を発揮させたときの筋力を測定すると,大内転筋後部線維の筋力を測定することが可能となります.

 

 股関節外転筋群

(大腿筋膜張筋・中殿筋前部線維 vs 中殿筋後部線維)

大腿筋膜張筋・中殿筋前部線維は股関節外転筋ですが,股関節屈曲作用を有しますので,股関節伸展位から屈曲外転方向に力を発揮させたときの筋力を測定すると大腿筋膜張筋・中殿筋前部線維の筋力を評価することができます.

ダニエルズらのMMTでは,股関節屈曲45°位から股関節を外転させるといった方法となっておりますが,股関節を屈曲|させると大腿筋膜張筋は短縮位となるため,筋の静止張力が低下し大腿筋膜張筋力は十分な筋出力を発揮することができません.

したがって股関節伸展位からの屈曲・外転運動を評価することが重要です.

 

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また中殿筋後部線維は股関節外転作用に加えて股関節伸展作用を持ちますので,股関節屈曲15°から伸展外転方向に力を発揮させたときの筋力を測定すると,中殿筋後部線維の筋力を測定可能です.

 

 

 股関節伸展筋群 

(大殿筋上部線維 vs 大殿筋下部線維) 

大殿筋上部線維は股関節伸展外転作用を,大殿筋下部線維は股関節伸展内転作用を有しますが,いずれも股関節屈曲位では伸展作用が弱くなります.

大殿筋上部線維は,股関節中間位から伸展外転方向に力を発揮させたときの筋力を測定します.大殿筋下部線維は,股関節外転位から伸展内転方向に力を発揮させたときの筋力を測定します.

ハムストリングスの影響を小さくするために,必ず膝関節を90°程度屈曲位として行うことが重要です.

 

 股関節屈曲筋群(腸腰筋 vs 縫工筋) 

場腰筋は股関節屈曲位の方が屈曲伸展中間位よりもモーメントアームが大きいため, 股関節80°屈曲位から股関節を深屈曲させた際の筋力を測定します.

縫工筋は股関節80°屈曲位から屈曲外転方向に力を発揮させたときの筋力を測定します.

 

 膝関節屈曲筋群 

(内側ハムストリングス vs 外側ハムストリングス) 

内側ハムストリングスは膝関節内旋位で膝関節を屈曲方向に力発揮させたときの筋力を測定します.

外側ハムストリングスは,膝関節外旋位で膝関節を屈曲方向に力を発揮させたときの筋力を測定します.

膝関節屈曲角度が浅いと,腓腹筋が膝関節屈曲筋群として働いてしまうため,膝関節は30°以上屈曲して行うことが重要です.

 

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 膝関節伸展筋群(大腿直筋 vs 広筋群) 

大腿四頭筋の中でも大腿直筋は二関節筋でありますので,大腿直筋と広筋群を分類して筋力測定を行うことが可能です.

大腿直筋は下肢伸展挙上(SLR)の筋力を測定します.

股関節屈曲角度を0°~30°とすると腸腰筋の影響が少なくなります.

広筋群に関しては分類して筋力測定を行うことは不可能です.

よくある誤解ですが内側広筋が最終域での膝関節伸展筋力を反映しているわけではありませんので,内側広筋・中間広筋・外側広筋を分けて評価することはできません.

広筋群の筋力測定にはセッティングを用いると良いです.股関節が屈曲位となりますので,より大腿直筋の筋活動が減少し,広筋群の筋力測定が可能です.

この場合には股関節伸展運動を含んでいる点にも注意が必要です.

 

 足関節底屈筋群 

 (腓腹筋 vs ヒラメ筋) 

腓腹筋は膝関節伸展位での足関節底屈筋力, ヒラメ筋は膝関節90°屈曲位での足関節底屈筋力を測定します.

 

今回は個別に筋力評価を行う上での肢位や運動方向について,下肢の筋群を中心にご紹介いたしました.同一作用を有する筋であっても関節角度等によって活動しやすい肢位が異なります.評価はもちろんですが,こういった筋の特性を筋力トレーニングにも生かしたいところです.

 

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